新納 淳二 株式会社ユー・ジェー・エス
札幌・中の島で44年。国内外からファンが集うジーンズショップ
札幌・豊平区中の島に、道内外はもちろん、韓国、タイ、マレーシア、ヨーロッパ各国からも、ジーンズを目当てにお客さまが訪れる店があります。ジーンズショップを開いたのは1982年。現在「UNIQUE JEAN STORE(ユニーク ジーン ストア)本店」「UNIQUE&SON’S(ユニーク アンド サンズ)」の2店を経営しているのが、ご紹介する新納淳二さんです。フィッティングによってお客さまに似合うジーンズを選び、その場で裾上げをしたり、穴が開いたらリメイクしたり。色の落とし方やビンテージ感の出し方、購入後も続くていねいなアフターケアによって、店のファンを増やし続けてきました。国内外で買い付けたジーンズは、国産約10ブランド、インポートも含めれば約30ブランドという品揃え。しかし、この店の一番の魅力は、新納さん自身。「何十年も続いている個店は、人の魅力に溢れています」と紳士服フロアの担当者が話すように、店の隅々にまで、ジーンズへの愛情とチャーミングなお人柄がにじみます。10月7日(水)〜13日(火)には、6階紳士服売場でPOP-UPを開催。フィッティングから裾上げまで、その場で対応してくださるので、ぜひこの機会にお立ち寄りください。
取材者:大丸札幌店 関春香
新納 淳二 しんのう じゅんじ(Jimmy)2>
株式会社ユー・ジェー・エス代表取締役CEO
小樽生まれ、留萌育ち。75歳。札幌の高校を卒業後、東京国際大学商学部に進学。1973年、アメリカ・オレゴン州のウィラメット大学への短期留学を機に、アメリカの文化やファッションへの興味を深める。大学卒業後は、アメリカ生まれのジーンズブランド ラングラーの日本法人、ラングラー・ジャパンに就職し、企画・営業に携わる。退職後の1982年、札幌・中の島に「UNIQUE JEAN STORE」を開業。現在は「UNIQUE JEAN STORE本店」「UNIQUE&SON’S」およびオンラインストアで、国内外のジーンズや洋服を販売している。
傷も繕いもオリジナリティー
ジーンズは人生そのもの
「ジーンズは、はき続けて破れても、縫って直せば個性となり、その人のオリジナリティーになります。人生と同じように、病気をしたりつまずいたりして穴が開き、ボロボロになっても、リメイクすればかっこいいアクセントになり、その人の歴史となります」
ジーンズの魅力について語るのは、札幌・中の島で44年続くジーンズショップのオーナー、新納淳二さん。現在は「UNIQUE JEAN STORE(ユニーク ジーン ストア)本店」「UNIQUE&SON’S(ユニーク アンド サンズ)」の2店を構え、長年の目利きで選んだ国内外のジーンズや洋服を販売。その貴重な品揃えを目当てに、全国はもとより海外からもジーンズファンが足を運ぶ個性的なお店です。
「店を構えて44年。僕は75歳になりました。今では、親子3代にわたって来てくださるご家族もいらっしゃいます。『子どもが20歳になったときにあげるんだ』って購入してくださるお客さまもいる。このような話は、長く続けてきたご褒美だと思っているんです」
市営地下鉄南北線が開業したのが1971年。札幌で第11回冬季オリンピックが開催されたのが1972年。新納さんが「UNIQUE JEAN STORE」をオープンしたのは1982年。札幌の街がにぎわい、ファッション界ではデザイナーズブランドが注目を集める一方で、ジーンズはまだ異質なマーケットだった時代だそう。「ジーンズを洗ったら色落ちした」とクレームになる時代から、新納さんは半世紀近くにわたり、札幌の街とファッションの移り変わりを見守り続けてきました。
「クローズド、ディーゼルなどのイタリアのブランドも、28年前に北海道で初めて契約をしました。札幌も会場となった2002 FIFAワールドカップの際に、デイヴィッド・ベッカムが着用したことで国産ジーンズのエヴィスが注目されたときも、うちで扱っていたものだから新聞に取り上げられたりしてね」
話を聞くほどに変化を実感するファッション界のなかで、コットン100%でハンドメイドのデニムは根強く残り続けています。
「インドの綿から始まって、フランス南部のニームで織られた布『セルジュ・ドゥ・ニーム』がデニムの発祥。人の肌のようにに味が出るコットン100%の世界には、人工の化学繊維には出せないおもしろさがあると思います」
アメリカへの憧れが
苦労を乗り越える原動力に
「中学、高校の頃から、アメリカのピーター・ポール&マリーをはじめとしたフォークソングが大好き。自ずとファッションも、アイビーやトラッドなどに惹かれるようになりました。小樽で生まれて留萌で育ちましたが、音楽やファッションへの憧れから札幌の高校に進学。東京に行けば、もっとかっこいいお店やファッションがあると思って、東京の大学に進学したんです」
憧れのアメリカに行ける短期留学プログラムがあった東京国際大学へ進学し、1973年にアメリカ・オレゴン州のウィラメット大学への短期留学を果たします。
「オレゴン州は、映画『スタンド・バイ・ミー』の世界。都会とは違ってとてものどかで、ホストファミリーも優しくて。初めてマクドナルドを食べて、コカ・コーラを飲みました。『ずっとここにいたい!』と思うほど惹かれました」
アメリカとつながるファッションの仕事がしたい。そんな思いから、大学に通いながら、メンズファッション界をリードする著名人を多数輩出していた「メンズファッション学院(メンズファッション専門学校)」の夜間部で学んだ新納さん。講師としてやってきたラングラー・ジャパンの部長との出会いをきっかけに、同社へ入社することに。
「アメリカと商売がしたいと思っていたので、アメリカといえばジーンズだろうと。それでラングラー・ジャパンに就職して、がんばって仕事をして、海外出張にも行かせてもらって。経験を重ねながら北海道の営業所に異動し、マーケティングやコンサルティングをやっているうちに、だんだん自分でもやってみたくなって。やってきたことを実践しようと独立を決めました」
「1982年に一人で始めましたが、大変苦労しました。自分で店をやったら、もっとアメリカに行けると思ったけれど、甘くなかったですね、商売は。アメリカに行くまで10年かかりました」
思えば初めてアメリカに行ったときの感動が、その後の苦労を乗り越える原動力になったと、新納さんは振り返ります。
ユニークな企画を目指して始まった
北海道ならではのオリジナルジーンズ
UNIQUE JEAN STOREの魅力のひとつに、国産ジーンズブランドとコラボレーションしたオリジナルジーンズがあります。
「UNIQUE JEAN STOREの名前は、70年代に買い付けで出かけたニューヨークで出会った店の名前へのオマージュです。『ユニーク』とつくからには、おもしろい開発がしたい。北海道にいる以上、この土地にまつわるストーリーを作りたい。店にはジーンズがあるし、近くには鮭が上る豊平川があるから、『鮭ジーンズはどうだろう?』『ナマラジーンズはどうだろう?』なんてアイデアを出し合った結果、出来上がったのが『蝦夷ジーンズ』でした」
大阪のサムライジーンズとコラボレーションし、2006年から2年に一度、テーマを変えながら各100本限定で製作しているのが「蝦夷ジーンズ」。有機栽培で育てた綿を紡いで糸にし、天然素材で染め、力織機(りきしょっき)で織り上げて縫製する日本製ジーンズの技に、たっぷりの遊び心を盛り込んだシリーズです。
また「綿濃(めんこい)」シリーズは、北海道・伊達産の藍を使い、大阪のステュディオ・ダ・ルチザンの技術で製作。履くほどに自分らしい経年変化が楽しめる、セルビッチと呼ばれる“耳”があるのも特徴です。
ウエアハウスとのコラボレーションで生まれたのは、5ポケットジーンズの「ゴールドマン」。19世紀半ばにカリフォルニアで起こったゴールドラッシュに、かつて北海道各地で金山開発が盛んになった歴史を重ね合わせたシリーズです。ディアスキンと呼ばれる北海道産エゾシカの革パッチや北海道のシルエットを描いたステッチ、札幌の位置に施された星形のステッチなど、縫製の技術で北海道らしさを細部にまで表現。
新納さんのイメージを形にすべく、などのジーンズの開発を担当するのは、北海道認定第一号となるジーンズソムリエ資格を2014年に取得した取締役統括本部長の中嶋大輔さん。国産ジーンズブランドが持つ強みと、UNIQUE JEAN STOREならではのアイデアを掛け合わせたオリジナルジーンズは、完成を心待ちにするお客さまが絶えない人気の商品です。
この店にしかない価値から
ジーンズ文化を広げたい
「蝦夷ジーンズ」「綿濃」「ゴールドマン」。さらにエゾシカ皮革メーカー「エゾプロダクト」とコラボレーションした、ジーンズに合う北海道産エゾシカ革のブーツ「ケリ」など、北海道に縁のあるオリジナルアイテムをつくり続けている新納さん。これから取り組みたいのは、北海道産エゾシカ革のレザージャケットです。
「北海道産エゾシカ革を、北海道産の藍で染めたレザージャケットが作りたいと思っています。地元の文化や物語を盛り込みながらものづくりをして、『世界でここにしかない』という魅力からジーンズ文化が広がっていったら嬉しいですね」
もうひとつの夢は、店を目指して足を運んでくれるお客さまに、もっと楽しんでもらえるようにサロンの場をつくること。
「コーヒーやクラフトビールが飲めたり、手作りのサンドイッチが味わえたり。ご家族連れなら、ソフトクリームを出すのもいいね。僕はたまに弾き語りライブをして。妄想家だから、どんどんイメージが広がっちゃう。やりたいという気持ちがあれば、不思議とできてしまうものなんです」
そんな思いの連なりが、44年という店の歴史を編み続けます。
10月7日(水)~13日(火)に開催されるPOP-UPには、「綿濃」や北海道産エゾシカ革のブーツ「ケリ」のほか、サムライジーンズ、ステュディオ・ダ・ルチザン、フルカウント、ジェラードなどの国産ジーンズ、ワイツーレザー、バンソンのレザージャケット、レッドウィングのアニバーサリーモデルもお目見えする予定です。
一人ひとりの体格や顔とのバランスを見ながらのフィッティングや、シルエットがきれいに見える裾上げにも、その場で対応してもらえるチャンス。ジーンズ愛好家の皆さんはもちろん、「興味はあるけれど、詳しくない」という皆さんも、奥深いジーンズの世界を覗きに遊びにいらしてくださいね。
※本記事の情報は、2026年8月のものです。
UNIQUE JEAN STORE
住所:〒063-0002 北海道札幌市豊平区中の島2条2丁目1‐22
TEL:011-832-0224
営業時間:11:00〜20:00


















































