岡田 莉奈 ファッションモデル・ウォーキング講師
モデルやクリエーターたちが夢を叶える熱い場所から、新しいファッションシーンを
「環境に配慮したECOなリユース・リサイクル活動を通じて、お客さまのご負担や地球への負荷をOFFする」。大丸札幌店では、持続可能な社会を目指す参加型プロジェクト「ECOFF(エコフ)」の取り組みを通じて、お客さまからお預かりした洋服や雑貨をリユースしています。毎年10月に開催する百花祭では、そのプログラムの一環として、衣料循環プロジェクトのファッションショーを実施。2026年からは「RE:CREATE AWARD 2026(リ クリエイト アワード 2026)」へと名称を改め、ファッションアワード&ショーとして、さらにスケールアップする予定です。廃棄衣料に新たな息を吹き込む若手クリエーターと、服に込められた思いを表現するファッションモデルたちが、秋の北海道に新たなファッションシーンを創り上げる試みです。この催しのショーディレクターとして、構成やモデルの最終選考を担うのが、今回ご紹介するモデルの岡田莉奈さんです。美のオリンピックとも称されるミスコンテストの世界大会や、パリコレをはじめとする海外コレクションのランウェイに挑戦し、その厳しさを知る岡田さん。だからこその優しさが、オーディションや取材の場での言葉や振る舞いに滲んでいるように感じられました。
取材者:大丸札幌店 千葉美奈子
岡田 莉奈 おかだ りな2>
ファッションモデル・ウォーキング講師
札幌市出身、32歳。高校卒業後、歯科衛生士専門学校在学中にモデル活動をスタート。2021年、「Miss Supranational Japan」日本代表として世界大会「Miss Supranational」に出場し、Miss Talent TOP 3、Miss Elegance TOP 15に選出される。現在は海外コレクションに活躍の場を広げ、ランウェイを歩く。北海道を拠点とするチャリティーファッションショー「Flux Mode Collection(旧All Japan Collection)」ディレクター、札幌観光大使も務める。
ランウェイを歩くモデルを
オーディションで選抜
取材班が訪れたのは、2026年10月3日(土)に大丸札幌店1階コリドールで開催される「RE:CREATE AWARD 2026(リ クリエイト アワード 2026)」で、30mのランウェイを歩くファッションショーモデルのオーディション会場。会場となった札幌ファッションデザイン専門学校DOREME(ドレメ)には、全国各地からの応募者約87人のうち、1次選考をクリアした9歳から48歳までの71人が審査を受けている真っ最中でした。
張り詰めた空気のなか、その場で出される課題に挑戦する応募者の皆さん。3名の審査員の中心で見守るのは、ショーディレクターとして振付やモデル選考を担当するモデルの岡田莉奈さんです。札幌市出身の岡田さんは、2021年に「Miss Supranational Japan」で日本代表に選出され、世界大会「Miss Supranational」に出場したほか、パリコレをはじめとする海外コレクションのランウェイを歩くファッションモデル、ウォーキング講師として活躍しています。
また、パリやミラノなど海外で活躍するプロモデルと、オーディションで選ばれた一般公募モデルが同じステージに立つ、北海道・札幌発の本格的なファッションショー「Flux Mode Collection(旧All Japan Collection)」を主宰するディレクターでもあります。
「どんな服を着たイメージで歩いていた?」「まずは自分に合う靴を見つけて」
オーディションという限られた時間のなかで、瞬時にそれぞれの応募者のポイントを見抜き、ひと言をかける岡田さん。それは時に厳しく、時に鋭い言葉でしたが、参加した誰もが次のステップへの糧にできる、愛のある指摘に感じられました。
「『私にとっては、これが正解です!』。そういう気持ちでオーディションに臨めていたら合格です オーディションで見ていたのはメンタルの強さ。そして、挨拶やとっさの場面ににじみ出る人間性です。モデルには、当日の現場を任せられる信頼が欠かせないから」
挫折によって作戦を練り直し
悲願のミスコン世界大会へ
かつては歯科衛生士として働きながら、モデル活動をしていた岡田さんは、ミスコンテストへの出場を決めます。
「出場を決めたのは、自分が何者かわからなかったからです。今、思えばとても安易なのですが、モデルとして価値をつけるためでした」
転機が訪れたのは2017年。
「初めて『2017 Miss Universe Japan北海道大会』に出て、審査員特別賞をいただき、その半年後に『2017 Miss Earth Japan北海道大会』に出場し、北海道代表になることができました。トレーニングもしっかりやって、絶対に日本一になれると思っていたんです。しかし、結果はTOP 10入賞で終わってしまいました……」
携帯も見られないほど落ち込んだというこの挫折が、人生の大きなターニングポイントに。
「あえてコンテストの場から離れて、次に出た時に一発で日本代表を獲ると決めました。戦略的に考えたときに、表舞台から消えて3年間トレーニングをし、自分に合っているコンテストを探して、『こんな子いなかったよね?』というダークホースとして勝とうと考えたんです」
ボディメイクはもちろん、ファッションセンスやメイクの勉強、自己分析、ウォーキングのトレーニングまで、できることすべてに取り組んだ3年間。さらに、各コンテストの傾向も徹底的に分析し、自分に合った大会、勝てる大会を探したそうです。
2020年は日本3位と一歩届かなかったものの確かな手応えを得た岡田さんは、翌2021年に見事、日本代表の座を掴み取りました。
「私、負けず嫌いで強運なんです。コンテストでは特技の披露もあるのですが、小学生の頃から続けている空手にアクションをミックスさせた技を披露することができ、TOP 3に入れたと思っています」
多くの人の応援や支援を受け、世界大会で結果を残すという目標を達成した岡田さん。そこからは、お世話になった人、故郷への恩返しのターンへ。コンテストから海外コレクションのランウェイへと活躍の場を移す一方、2023年には札幌でファッションショーを立ち上げました。
「札幌にはショーの場がありません。また、パリをはじめ海外で活躍しているモデルが、国内に帰ってきても歩く場がない。プロフェッショナルと一般公募モデルが同じステージに立ち、お互いに刺激を受けながら学べる場をつくりたいと思って始めたのが「Flux Mode Collection(旧All Japan Collection)」でした」
コンテストとモデルは
似ていそうで対極にある存在
「コンテストは自分を魅せますが、モデルは服を見せる仕事。まったく考え方が逆なんです。コンテストは、言葉を発さない自己表現であるウォーキングと、言葉で表現するスピーチや質疑応答によって行われます。『自分の素敵なところはここ! だから、私は代表になる自信があり、その責任を果たすことができます』と表明する場ですから、そもそも自分自身を理解していないと誰もついてきてくれません」
自分をエレガントに見せたいのか、かわいらしく見せたいのか、強く見せたいのか。徹底した自己分析によってネガティブな面とも向き合い、ポージングや話す内容、ファッションスタイルに至るまで、すべてに一貫した自分の見せ方を考える必要があるのがコンテスト。
対するファッションショーのモデルは、ランウェイを歩きながらデザイナーの世界観を表現し、想いがこもった服の魅力を最大限に伝える仕事です。
どんな世界観で服の魅力を表現するのか。求められるのは、歩き方や姿勢、目つきや指先まで、全身を使った表現力。ランウェイを歩く数十秒、ポーズを決める数秒のなかで、いかに的確に表現できるかという瞬発力。そして、本番のステージでハプニングが起きたとしても、決して顔に出すことなく、ほかのモデルと息を合わせて乗り切る対応力です。
美しさが注目されがちな仕事ですが、逃げも隠れもできない表舞台で、その人自身がいかに多くの「引き出し」を持っているかが問われる。それもまた、ファッションモデルという仕事です。
「コンテストからモデルに場を移したときは、“自己主張の引き算”をするのが大変でした」
主張せずとも内面のすべてが外見となって表れ、それが凝縮して瞬間的に発露されるファッションモデルの世界。以前は「服をきれいに見せるマネキン」のような役割だと思っていたそうですが、経験を重ねるほどに、その奥深さが見えてきたといいます。
「目の細め方、息の吸い方、顎の上げ方、口の開き方まで考えています。まばたきも、バチッとするのか、ふわっとするのかで印象は変わるもの。ウォーキングやポージングができるのは大前提で、悲しい経験や楽しい経験がもたらす感性の振り幅や人間味を、本番で爆発させられる人が、モデルとして生き残れる人だと思っていて。世界で活躍している人が優しいのは、異なる文化の人と関わるコミュニケーションの力があり、人間のさまざまな感情を知っているからだと思っています」
ファッションシーンの
新しい価値と文化を北海道から
「なくても生活はできるけれど、あったらもっと豊かになるのがファッションだと思います。例えば、『今年のショーのテーマカラーは赤です』といったら、みんなが赤い服を着て参加する。服装がモノクロカラーになりがちな北海道の秋から冬に、『その服、どこで買ったの?』『きれいな色だね』という会話が生まれる街になったら」
岡田さんが思い描くのは、ファッションをきっかけに人と人との会話が生まれ、街そのものがワクワクするような未来です。
「近い将来、果たしたいのは雑誌『VOGUE(ヴォーグ)』に載ること。『Harper's BAZAAR(ハーパーズ バザー)』と『ELLE(エル)』には載れたので、あとは『VOGUE』なんです。そして、招待制や服のテーマカラーに合わせて参加することがステータスになるようなコレクションを北海道で実現したいですね」
ショーディレクターとして関わる『RE:CREATE AWARD 2026』で目指すのは……。
「モデルを統括するのはもちろんですが、若者や子どもたちが夢を叶えられる場所、叶えていいと思える場所をつくりたいと思っています。デザイナー、モデルだけでなく、見てくださる人も含めて、『こんなに輝いている人がいる、熱い場所があるよ』って。みんなが一歩踏み出す気持ちになれる、ワクワクできる場をつくることが、私のミッションなのだと思います」
「RE:CREATE AWARD 2026」では、岡田さんからウォーキングの指導を受けたモデルたちが、30mのランウェイを歩きます。身にまとうのは、大丸札幌店がお客さまから「ECOFF(エコフ)」でお預かりした廃棄衣料を、若手クリエーターが新たな服として甦らせた服です。
ここから育つ、北海道の新たなファッションカルチャーに、ぜひご注目ください!
※本記事の情報は、2026年7月のものです。


















































