
中村 夏音 kanonnohimo
「なくしたくない」を「おしゃれ」に変える世界に一本だけの紐
2025年夏に大丸札幌店キキヨコチョで行われた、タレント・中村夏音さんのPOP-UPストア「夏、もっと好きになる とっておきのアイテム集めました」は、おかげさまでたくさんのお客さまからご好評をいただきました。夏音さんセレクトの商品はもちろん、ご自身が手作りするオリジナルのストラップ「kanonnohimo(カノンノヒモ)」は、お客さまの大切なモノを守る相棒として瞬く間に店頭から旅立っていきました。実は私も持っていて、夏期休暇の旅先ではスマホストラップとして大活躍。気分が上がるビビットカラーは装いのアクセントになりますし、軽くて肩にも優しく、なにより一点物のデザインなので大のお気に入りです。2025年10月11日(土)、18日(土)で開催する「kanonnohimo キーリング制作ワークショップ」では、木布を使ったキーリング教室を開催(要事前予約)。新しいファッションアイテムでもある「kanonnohimo」がどのように作られているのか見せていただきに、ご実家である中村家を訪ねました。
取材者:大丸札幌店 船岡未弥子
中村 夏音 なかむら かのん2>
kanonnohimo
札幌出身、27歳。「kanonnohimo」を主宰し、オンラインストアやPOP-UPストアにて手作りのストラップを販売。登山やサップ、キャンプなどのアウトドア好きというキャラクターを生かし、AIR-G' FM北海道、毎週日曜9:30〜9:55「そと遊びRadio」のパーソナリティーとしても活躍中。フルマラソン初挑戦の「北海道マラソン2025」で、見事完走を果たしたばかり!
ストラップづくりの始まりは
スマホをなくした学生時代
「桜とライラックが待ち遠しい」「ドラゴンフルーツ」「健康的なカエル」……。中村夏音さんが主宰する「kanonnohimo(カノンノヒモ)」のオンラインショップには、お茶目な商品名が付いたストラップが並んでいます。一本の中に数種類のロープワークが施されており、メタリックなクール系から、ネオンカラーのPOP系、ビタミンカラーのアウトドア系まで、すべてがカラフルなロープで手作りされています。どんなシーンで使おうか、どんなファッションに合わせようか、どの一本を迎えようかと悩む時間さえも気分がウキウキしてくるのは、同じデザインがない一点物だから。
「ストラップを作り始めたのは、学生時代に私がスマートフォンをなくしたことがきっかけでした。当時は携帯電話の料金を親が支払ってくれていたので、ものすごく怒られたんですね。スマホをなくさないように、最初は百円ショップのヒモを使ってストラップを自作したのですが、昔から山登りが好きだったこともあり、だんだんとアウトドアで使うパラコードに進化していって。それが友達や知り合いに好評で、50人くらいにプレゼントしたんです」と、中村夏音さんは製作を始めた当時を振り返ります。

「オンラインショップで売ってみたら?」という仲良しの友人からのアドバイスで、2022年から販売をスタート。当初シンプルだったデザインは、いつしか複雑なロープワークへと進化して、現在、1.2mのストラップに使われているロープの長さは、なんと30mにも及ぶのだとか!材料もアウトドアで使われるパラシュート用のパラコードから、テント設営時に使うガイロープ、岩場を登るクライミングロープまで多種多様に。どれも野外活動で使われる材料だけに、カラフルで丈夫、30mものロープが使われているとは思えないほどの軽さも特徴の一つです。
「おしゃれな友人が持っていた傘の配色。気の置けない仲間たちと出かけた、緑いっぱいのキャンプ場の景色。印象に残った色をイメージしながら気ままに編んでいます。皆さんも刺繍糸で編んだことがあるかもしれないミサンガづくりの要領ですね。デザインを決めていないのは、“作業”にしたくなかったから。自分が楽しみながら編んだヒモを、選んでくださる誰かの手元にお届けできたらうれしいです。
「kanonnohimo」を身につけているだけで不思議と気分が上向くのは、夏音さんが見つけた、日々の楽しさや思い出が編み込まれているからなのかもしれません。

製作を支えているのは
仲良し家族のチームワーク
「27歳の今は、タレントのお仕事をメインにしながら、ヒモを編んでいきたい」という夏音さんの思いを支えているのはご家族の皆さん。タレント業の傍らで、イベント出店に向けてまとまった本数を作るために作業をサポートしてくれるのだとか。
「注文したロープが届いたら、ハサミで6mに切って切断面を炙り、編みやすいようにねじれを解きます」と話すのは、祖父の西村力雄さん(83歳)。自宅の床に6mの目印を貼り、夏音さんからロープを託されたらいつでも切れるようにスタンバイしているそうです。

「ロープを切るよりも難しいのは、革のタグにロゴを刻印する作業です」と言いながら力雄さんが見せてくれたのは、ハサミで小さく切った革タグにクラフトハンマーでロゴを刻印し、最後に角をハサミで整える作業。その細やかさといったら!
小樽生まれの力雄さんの趣味は海釣りです。自動車免許を返納して札幌へ引っ越した今も、仕掛けや針まで手作りしながらカレイやシャコなどの季節の魚介を狙った手先の器用さで夏音さんの作業をがっちりサポートしています。
「ヒモを作ってみますね」と材料を並べてひとたび制作が始まれば、実家の和室は作業場へと様変わり。おしゃべりしながら迷いなくロープを編んでいく夏音さんと、黙々とロープを切る力雄さんの作業を見ながら、お母さまとおばあさまは「また散らかしちゃって」と苦笑い。とはいえ、和室の長押に作業途中のヒモがぶら下がっていたら、「お願いの合図かな?」と思って続きを手伝っておくのだとか。タレント・モデル業もストラップ製作も。夏音さんの活動を全力で応援してくれる家族のチームワークが、「kanonnohimo」を支えています。

モノづくりの輪と
新しい出会いが広がって
「ブランドを始めてから、人との縁が広がりました。タレントとして、いつかお会いしたいと思っていた方が催事に来てくださってご挨拶ができたり、友人が使っているストラップを見て買い物に来てくださったり。モノづくりを通して出会いの広がりを感じています。一本を作るにも、ロープを切ってタグを作るまで、たくさんの工程と多くの時間がかかることが身に染みてわかりました。出店を通して、自らモノを生み出す方々と繋がれることもうれしいです。いつかは本州でPOP-UPストアに参加できたら」

夏音さんのInstagramに並んでいるのは、北海道の季節を追いかける外遊びの写真。気の置けない仲間たちとキャンプに出かけた際は、自然の中で編むこともあるのだとか。最近は支笏湖のサップがお気に入り。アウトドア好きの夏音さんが編む商品は、野外でもタフに使えるアイテムとして作られています。
「支笏湖のサップの魅力は、大自然の中で心の底から浄化されることです。身近に自然がある札幌は、自分次第で外遊びを楽しめる場所。四季の変化が鮮やかなのでいつ出かけても違う景色に出合えますし、同じ山に登っても二度と同じ写真は撮れません。支笏湖のような自然の中に、車で1時間ほどで行けてしまう札幌が大好きです」
大自然が色鮮やかな夏も、服装がモノトーンになりがちな冬も活躍してくれること間違いなし。ネガティブな「なくさないように」を、ポジティブな「おしゃれ」に変えてしまう「kanonnohimo」に出合ったら、ぜひ相棒となる一本を探してみませんか?

※本記事の情報は、2025年8月のものです。