~二十四節気とともに綴る京都の食卓~

うつりかわる季節を楽しみ、旬を味わう、京都人の美意識と知恵。四季のある日本で、京都の人たちはひときわ季節を大切にしてきました。古くから季節の指標として用いられてきた「二十四節気」を軸として、名店の料理とともに、京都の暮らしにとけこむ食の風景を綴ります。

2022/4/20~5/4[

旬の走り、
盛り、名残。

その季節に初めて出回る「走り」、流通量が増えておいしい「盛り」、
惜しみながら余韻を味わう「名残」。日本では3つの旬を楽しみます。
走りの初がつおをはじめ、今ならではの様々な旬、四季のうつろいを満喫しましょう。

2022/04/22

短い食べどきを尊ぶ
「旬」の字。

月の上旬、中旬、下旬という言い方をするように、「旬」とは本来「10日」を意味する言葉。食材の旬を中国語(簡体字)では应季、英語ではin seasonといい、いずれも“季節”でとらえていますが、日本ではわずか10日を表す「旬」の字をあてたところに、短い食べどきを尊ぶ特有の概念を感じます。品種改良や流通の発展により年じゅう出回る食材も多いですが、「旬」から自然のうつろいを身近に感じることも、日本の食文化の醍醐味。

季めくり季の味■地階 京の銘店そう菜売場

〈二傳〉

さっぱり上品に京都らしく。
旬のはしり、初かつお。

"目には青葉 山ほととぎす 初鰹(はつかつお)"と詠まれたように、緑が鮮やかさを増すとともに、かつおが旬を迎えます。かつおの旬は春~初夏、晩夏~秋の2回あり、今の時期のあっさりとした風味は、表面をサッと炙って"たたき"にすると引き立ちます。二傳のかつおのたたきは、鮮度がいいので色味が美しく臭みがなく、絶妙な炙り加減で仕上げた、さっぱりとした口あたり。本場 土佐の豪快な藁焼きとはひと味違う、京都らしい上品な味わいです。別添えの特製ぽん酢もおいしく、長年のファンが多い人気商品のひとつ。

〈二傳〉

惣菜など各種
[2種]税込1,080円から
[3種]税込1,620円から
[4種]税込2,160円から
かつおのたたき(1人前)税込1,080円相当
※2パック以上での販売のため、単品販売はしておりません。
※かつおのたたきを含めると、[2種]税込1,620円から [3種]税込2,160円から [4種]税込2,700円から となります。

〈京都𠮷兆〉
〈京都𠮷兆〉
 
 
 

土佐酢+オリーブオイルで
和風カルパッチョに。

土佐酢は鹿児島産かつお節と北海道産昆布をふんだんに使い、たつのの醤油、京都老舗の醸造酢と本みりんを使用し、だしの風味が豊かで酸味が柔らか。オリーブオイルは日本の料理に合うようにと総料理長の徳岡邦夫がイタリアへ赴いて開発したもので、種を抜き取ってから抽出する特別製法により、えぐみや苦味がなく、繊細な味わいです。写真の料理は、鯛のカルパッチョ。桜鯛とも呼ばれる真鯛に、春ならではの新たまねぎ、旬の走りのグリーンアスパラガスやフルーツトマトを彩りよく。へぎ作り(そぎ切り)にした鯛は放射状に並べ、生姜を絞って黒胡椒をふり、梅肉を点々とのせて、土佐酢とオリーブオイルをかけます。

〈京都?兆〉

土佐酢(195ml)税込1,080円 ※箱は別売り税込110円
エキストラヴァージン オリーブオイル(92g)税込1,620円
●オンラインストアでも販売しています。詳しくはこちら

〈天ぷら八坂圓堂〉

よもぎの香りが広がる
春限定の生麩の天ぷらも。

シンプルな料理法だけに、食材の風味や食感がよりいっそう際立つ天ぷら。京都の名産のひとつ生麩は、煮物や田楽に用いられることが多いですが、カラッと揚げることで衣はサクッ、中はもっちり。豊かな香りが口中いっぱいに広がる、春限定のよもぎ麩です。季節の野菜のかき揚げや定番の玉ねぎも、食材本来の甘みや歯ごたえが満喫できます。

〈天ぷら八坂圓堂〉

天ぷら各種(1個)
玉ねぎ 税込120円
京生麩 税込130円
野菜かき揚げ 税込200円

〈下鴨茶寮〉

香ばしい焼きおにぎりを
風味豊かなだし茶漬けで。

こんがり焼きおにぎりに、様々な具材とだしをかけて味わう、だし茶漬けです。すっぽんの身を贅沢に入れているので、うまみたっぷり。おにぎりの焦げ目がカリッと香ばしく、針生姜やねぎ、ぶぶあられ、しば漬けがいいアクセントになっていて、味わいの変化を楽しみながら堪能できます。お茶漬けは江戸時代中期頃から広く親しまれるようになったと言われ、下鴨茶寮が創業した1856年は徳川期の安政年間にあたることにちなんで、安政茶漬けと名づけました。主食としても、お酒のあとのシメにもおすすめです。

〈下鴨茶寮〉

安政茶漬け(すっぽん)税込972円

〈本田味噌本店〉
〈本田味噌本店〉
 
 
 

■地階
旬の山菜や筍とよく合う、
お酒のアテに格別のお味噌。

約200年前に創業し、伝統の味を守りながらも、時代のニーズに合せた味噌造りを探求し続けている本田味噌本店。写真1枚目は、酒のアテにもなる、その名もあて味噌。西京白味噌と赤味噌を合わせ、ツンとした香りと辛みの山葵(わさび)とコリコリした食感の山くらげを炊き込んだ季節限定のワサビみそです。ディップソース感覚で野菜や山菜につけたり、かまぼこやチーズにのせたり、お味噌の味わい方を広げてくれます。写真2枚目は、酢みそと西京白味噌。酢みそは、白味噌に醸造酢や和辛子が加えてあり、春野菜を和えたり、ほたるいかや鯉の洗いにつけたり。そして、看板商品の西京白味噌は、米麹のまったりと上品な甘さと淡黄色の美しい色合いをもち、京都の食文化に磨かれ支えてきた名品。

〈本田味噌本店〉

あて味噌 ワサビみそ(110g) 税込540円
酢みそ(120g) 税込324円
西京白味噌(500g) 税込648円

  • ※本記事の内容はホームページ掲載時の情報です。
  • ※季節のメニューなど、商品により販売期間が限られていますので、ご了承ください。
  • ※やむを得ない事情により、食材の一部を変更する場合、予告なく価格変更、販売終了する場合がございます。
  • ※写真はいずれも盛り付け例です。皿などの容器は商品に含まれません。

2022年

[2022/2/4~2/18]

都大路に春一番が吹き、梅の花がほころび始めます。厳しい余寒が続く中にも、新しい季節の兆しはそこかしこに。

[2022/2/19~3/4]

雪が雨に変わる頃の意で雨水。北山の雪解け水が鴨川をうるおし、三寒四温を繰り返しながら、少しずつ春めいてきます。

けいちつ

[2022/3/5~3/20]

春の陽光に誘われ、冬ごもりしていた虫たちが動きだす。鴨川沿いの柳は鮮やかに芽吹き、早咲きの桜が花を開きはじめます。

しゅんぶん

[2022/3/21~4/4]

沈丁花の香りが漂い、椿や木蓮、雪柳、桜…と次々に咲き、つばめが飛来しはじめ、いよいよ本格的な春の到来です。

せいめい

[2022/4/5~4/19]

清らかな陽光にみちて、生きとし生けるものすべてがいきいきと生命を謳歌する季節。京都の街は桜色に染まります。

こく

[2022/4/20~5/4]

百穀春雨と呼ばれる恵みの雨がしっとりと大地に降りそそぐ頃。藤や石楠花、杜若が見頃を迎え、街路樹は瑞々しい若緑色へ。

りっ

[2022/5/5~5/20]

爽やかな青空が広がり、青もみじが目に眩しく、風薫る五月。納涼床、川床が始まり、夏日となる日も次第に多くなります。

しょうまん

[2022/5/21~6/5]

草木や枝葉が生い茂り、梅の実がふくらむ頃。衣替えや建具替えをすると、町並みも夏らしい装いに。

ぼうしゅ

[2022/6/6~6/20]

梅雨入りを迎え、雨に濡れた色とりどりの紫陽花が美しい頃。各地の寺社で田植祭や竹伐り会式など豊作を願う神事が行われます。

[2022/6/21~7/6]

都大路をしとしとと雨が濡らす頃。神社では夏越祓の神事が行われ、鉾町にお囃子の音色が響きだし、京都の夏はいよいよ本番へ。

[2022/7/7~7/22]

コンチキチンの音色が響き、夏の暑さはいよいよ盛り。3年ぶりの山鉾巡行が待ち遠しく例年にも増して町が活気づきます。

[2022/7/23~8/6]

朝早くから蝉が大合唱し、空には大きな入道雲が立ちのぼり、京の油照りと言われる盆地特有の蒸し暑さが続きます。

[2022/8/7~8/22]

じっとりとした残暑が続く毎日。万灯会や灯篭流しが行われ、五山の送り火を終えると、京都の街はようやく秋の気配に。

[2022/8/23~9/7]

赤とんぼの姿、鈴虫の声。山々の緑は濃くなり、夏の入道雲と秋の鰯雲が混じり合う、行き合いの空が見られる頃です。

[2022/9/8~9/22]

朝晩は日ごとに涼しさが増し、草花が白い朝露をむすぶ頃。萩の花がしだれ咲き、夜空には美しい月が輝きます。

[2022/9/23~10/7]

暑さ寒さも彼岸まで。肌に心地いい秋風が金木犀の甘い香りを漂わせ、色鮮やかな彼岸花を揺らします。

[2022/10/8~10/22]

すすきの穂が黄金色に輝き、菊の花は色とりどりに。秋の日暮れは釣瓶落とし、そろそろ燗酒が恋しくなります。

[2022/10/23~11/6]

ひんやりと風が冷たく、朝晩は吐く息が白くなり始める頃。山野は晩秋の色を帯び、菊の花は見頃を迎えます。

[2022/11/7~11/21]

街のあちらこちらでお火焚きの煙が立ち昇る頃。山々や街路樹が次々と色づき、京都に美しい緋色が広がります。

[2022/11/22~12/6]

山茶花が花開き、鴨川にはユリカモメが飛来。しぐれるごとに寒さが増し、いよいよ本格的な冬の到来です。

[2022/12/7~12/21]

南座のまねき看板が上がると、京都の街は師走のにぎわいに。寺社では大根焚きや煤払い、終い縁日が行われます。

[2022/12/22~2023/1/5]

陰が極まり陽となる冬至。「ん」のつくもんで気を転じ、をけら詣りに除夜の鐘、歳神様をお迎えします。

[2023/1/6~1/19]

風花が静かに散らつき、寒椿が冬景色に彩りを添える頃。初釜式や十日ゑびすに向かう人波でまちが華やぎます。

[2023/1/20~2/3]

雪中四友と呼ばれる花々が咲き、寒さの底、来る春の兆し。初弘法、初天神、初不動、そして節分行事で寺社が賑わいます。

2021年

[2021/4/4~4/19]

清浄明潔を略して清明。清らかな陽光を受けて草木が芽生え、万物がいきいきと生命を謳歌し、都大路は桜色に染まります。

[2021/4/20~5/4]

穀物の種を蒔き、春雨に生育の願いを託す穀雨。八十八夜、茶摘みの季節が始まり、京都の街は桜色から瑞々しい緑色に。

[2021/5/5~5/20]

木々の緑がまぶしく、暦の上では夏。納涼床、川床が始まり、そして行列は中止ですが、五月といえば平安の時代から続く葵祭です。

[2021/5/21~6/4]

日差しが強くなり、木々の緑は深く。京都には〝家の作りようは夏を旨とすべし〟と涼の知恵が息づき、町家では6月1日に建具替えをします。

[2021/6/5~6/20]

芒(のぎ)はイネ科植物の突起のこと。麦を刈り取り、田植えをする時期です。京都のそこかしこで紫陽花が美しく、夕闇を舞う蛍が夏の風情を運びます。

[2021/6/21~7/6]

東山が雨にけむり、梅雨まっただ中。630日、京都各地の神社では夏越祓(なごしのはらえ)を行い、残る半年の無病息災を祈願します。

[2021/7/7~7/21]

疫病や災厄の退散を祈願して平安時代に始まったとされる祇園祭。おごそかに神事が行われ、京都の厳しい暑さは盛りを迎えます。

[2021/7/22~8/6]

三方を山に囲まれ、夏の暑さが厳しい京都盆地。鴨川の飛び石に子供たちの歓声が響き、堤防に草いきれが立ち込めます。

[2021/8/7~8/22]

盆地特有の残暑が続く日々。おしょらいさんをお迎えし、五山の送り火が終わると、ようやく秋の気配が漂いはじめます。

[2021/8/23~9/6]

ようやく暑さが少し和らぎ、虫の音も聞こえはじめる頃。8月下旬の京都では町内の路地で地蔵盆が繰り広げられます。

[2021/9/7~9/22]

草花に朝露が白く光り、虫の声が夕暮れをつつむ頃。京都の各所で秋の名月を愛でる風雅な祭事が行われます。

[2021/9/23~10/7]

ひんやりと頬をなでる風、どこからか漂ってくる金木犀の香り。秋分を境に日が短くなり、秋の夜長の始まりです。

[2021/10/8~10/22]

朝夕は肌寒く草木に露が降りる頃。天高く澄みわたり、遠く比叡山や愛宕山の姿も冴え、夜空には月がくっきりと輝きます。

[2021/10/23~11/6]

露は霜へと変わり、風は冷たく、いちだんと秋が深まる頃。秋の特別拝観や秋祭りで京都の街はにぎわいを増します。

[2021/11/7~11/21]

暦の上では冬が始まり、火の温もりが恋しくなる頃。京都は至るところで紅葉が広がり、美しい緋色に染まります。

[2021/11/22~12/6]

街に落葉が舞い、北山に初雪が舞い始める時期。南座に顔見世のまねきが上がると、いよいよ京都の町は師走の様相に。

[2021/12/7~12/21]

京都盆地に比叡おろしが吹き、大根焚きの湯気が上がり、パタパタと煤払いの音が聞こえると、正月準備を始める頃です。

[2021/12/22~2022/1/4]

一陽来復とも称される冬至。新年がよい年となるよう願い、しめ縄や松を飾り、鏡餅を供え、歳神さまを迎える準備をします。

[2022/1/5~1/19]

寒の入りといわれ、京都の底冷えが身にしみる時期。初ゑびす、小正月と続いて、新年の華やぎも落ち着いてきます。

[2022/1/20~2/3]

二十四節気の締めくくり。一年の邪気を祓い、心新たに春を迎えるために、各地の寺社で節分行事が営まれます。

番外編

[〜番外編~]

祭礼や年中行事などの日をハレ(晴)、普段の日をケ(褻)とし、非日常と日常を使い分ける文化が京都の暮らしに息づいています。

[〜番外編~]

相性のいい旬の食材の組み合わせを出合いもんと言います。季節、食材、人と人、調和を尊ぶ京都らしい美意識がここに。