~二十四節気とともに綴る京都の食卓~

うつりかわる季節を楽しみ、旬を味わう、京都人の美意識と知恵。四季のある日本で、京都の人たちはひときわ季節を大切にしてきました。古くから季節の指標として用いられてきた「二十四節気」を軸として、名店の料理とともに、京都の暮らしにとけこむ食の風景を綴ります。

2021/11/22~12/6[

季しらず、
飽きしらず。

京都人は季節感を大切にすると同時に、時期を選ばない乾物や大豆製品といった
“季(とき)しらず”の食材を使いこなすのが上手。
先人たちの知恵と工夫が息づく飽きのこない味わいが、気忙しい年の瀬をホッとさせます。

2021/11/26

サステナブルフード乾物。

巻き寿司の具としておなじみの干瓢(かんぴょう)はウリ科植物ユウガオの実を薄くむいて干した乾物の一種。精進料理のだしに使われるほど、うまみ成分に富み、日本人に不足しがちな食物繊維やカルシウムなどを豊富に含みます。乾物は干すことでうまみが凝縮され栄養価が増す、日本古来のスーパーフード。しかも食べる分だけ戻せば無駄がなく、冷蔵庫を使わずに長期保存が利くエコな食材、後世に残したいサステナブルな食材です。

季めくり季の味■地階 京の銘店そう菜売場

〈いづう〉

どこまでも完成度を高めた、
素朴で美しい太巻き寿司。

玉子は白身魚のすり身を入れて、ふっくらと厚焼きに。肉厚の椎茸はだしと醤油、みりんで甘辛く。三つ葉は風味と歯ごたえを生かしてシャキッと。干瓢(かんぴょう)はだしと砂糖で炊いて白く美しく。各々の具材は手間を惜しまず別々に調理し、香り高い焼海苔と生海苔を2枚重ねて贅沢に巻きあげました。素朴な寿司だけに、ひとつひとつの具材とその調和を大事にした、料理人の矜持を感じる味わいです。

〈いづう〉

太巻き寿司
(4貫)税込1,540円
(1本、8貫)税込3,024円

〈京都𠮷兆〉
〈京都𠮷兆〉
 
 
 

身近な乾物や野菜が
うまだしで手軽に味わい深く。

鹿児島産のかつお節、北海道産の昆布をたっぷり使用し、京都?兆厳選の丸大豆しょうゆ、本みりんで風味豊かに仕上げた、うまだし。どんなお料理でも味が決まりやすいように仕上げてあり、別名「万能だし」とも。めんつゆ、天つゆをはじめ、お好みの焼き野菜にかけたり、希釈して鍋もの、煮ものに使ったり、幅広く活用できます。写真の料理は乾物を活用した一品、きくらげとレタスのうまだしがけ。きくらげは水でもどして石づきを落とし、だしと少々の塩、醬油で炊き、ひと口大に。コリコリしたきくらげとシャキシャキした千切りレタスの食感をさっぱりとしたうまだしが引き立てます。

〈京都?兆〉

うまだし(250ml)税込864円
●オンラインショッピングでも販売しています。詳しくはこちら

〈二傳〉

ひとつひとつに手をかけた、
和食のお手本のような味わい。

焼き目を入れた湯葉とともに、今が旬のかぶらや金時人参、どんこ椎茸や里芋など、かつおと昆布のだしをベースにした上品な炊き合わせ。食材ごとに下茹で時間も調味料の配合も異なるので、それぞれ別々に炊いて盛り合わせています。一見シンプルな料理ですが、家庭ではなかなか真似のできない手間がかけられ、細部まで行き届いた正統で奥深い味わい。

〈二傳〉

惣菜など各種
[2種]税込1,080円から
[3種]税込1,620円から
[4種]税込2,160円から
湯葉と冬野菜の炊き合わせ(1人前)
税込540円相当
※2パック以上での販売のため、単品販売はしておりません。

〈天ぷら八坂圓堂〉

とろりとレアで柔らか、
贅を極めた生うにの天ぷら。

天ぷらは揚げものではなく蒸しものだと言う人もいるように、衣で包んで高温で余計な水分を逃がしつつ、食材がもつ水分で蒸すことによって、香りやうまみが凝縮される料理。その醍醐味を実感する一品が、うに磯部巻きです。新鮮なうにを海苔で巻き、薄衣でサッと揚げるので、とろりと柔らか。口に入れた途端にうにがとろけ、ふんわりと甘みが広がり、生で食べる以上に濃厚な風味を感じます。新鮮な海老を使った天ぷらとともに、豊かな海の香りを堪能してください。

〈天ぷら八坂圓堂〉

天ぷら各種(1個)
うに磯部巻き 税込1,080円
海老しそ巻き、海老 各税込160円

  • ※本記事の内容はホームページ掲載時の情報です。
  • ※季節のメニューなど、商品により販売期間が限られていますので、ご了承ください。
  • ※やむを得ない事情により、食材の一部を変更する場合、予告なく価格変更、販売終了する場合がございます。
  • ※写真はいずれも盛り付け例です。皿などの容器は商品に含まれません。

2022年

[2022/2/4~2/18]

都大路に春一番が吹き、梅の花がほころび始めます。厳しい余寒が続く中にも、新しい季節の兆しはそこかしこに。

[2022/2/19~3/4]

雪が雨に変わる頃の意で雨水。北山の雪解け水が鴨川をうるおし、三寒四温を繰り返しながら、少しずつ春めいてきます。

けいちつ

[2022/3/5~3/20]

春の陽光に誘われ、冬ごもりしていた虫たちが動きだす。鴨川沿いの柳は鮮やかに芽吹き、早咲きの桜が花を開きはじめます。

しゅんぶん

[2022/3/21~4/4]

沈丁花の香りが漂い、椿や木蓮、雪柳、桜…と次々に咲き、つばめが飛来しはじめ、いよいよ本格的な春の到来です。

せいめい

[2022/4/5~4/19]

清らかな陽光にみちて、生きとし生けるものすべてがいきいきと生命を謳歌する季節。京都の街は桜色に染まります。

こく

[2022/4/20~5/4]

百穀春雨と呼ばれる恵みの雨がしっとりと大地に降りそそぐ頃。藤や石楠花、杜若が見頃を迎え、街路樹は瑞々しい若緑色へ。

りっ

[2022/5/5~5/20]

爽やかな青空が広がり、青もみじが目に眩しく、風薫る五月。納涼床、川床が始まり、夏日となる日も次第に多くなります。

しょうまん

[2022/5/21~6/5]

草木や枝葉が生い茂り、梅の実がふくらむ頃。衣替えや建具替えをすると、町並みも夏らしい装いに。

ぼうしゅ

[2022/6/6~6/20]

梅雨入りを迎え、雨に濡れた色とりどりの紫陽花が美しい頃。各地の寺社で田植祭や竹伐り会式など豊作を願う神事が行われます。

[2022/6/21~7/6]

都大路をしとしとと雨が濡らす頃。神社では夏越祓の神事が行われ、鉾町にお囃子の音色が響きだし、京都の夏はいよいよ本番へ。

[2022/7/7~7/22]

コンチキチンの音色が響き、夏の暑さはいよいよ盛り。3年ぶりの山鉾巡行が待ち遠しく例年にも増して町が活気づきます。

[2022/7/23~8/6]

朝早くから蝉が大合唱し、空には大きな入道雲が立ちのぼり、京の油照りと言われる盆地特有の蒸し暑さが続きます。

[2022/8/7~8/22]

じっとりとした残暑が続く毎日。万灯会や灯篭流しが行われ、五山の送り火を終えると、京都の街はようやく秋の気配に。

[2022/8/23~9/7]

赤とんぼの姿、鈴虫の声。山々の緑は濃くなり、夏の入道雲と秋の鰯雲が混じり合う、行き合いの空が見られる頃です。

[2022/9/8~9/22]

朝晩は日ごとに涼しさが増し、草花が白い朝露をむすぶ頃。萩の花がしだれ咲き、夜空には美しい月が輝きます。

[2022/9/23~10/7]

暑さ寒さも彼岸まで。肌に心地いい秋風が金木犀の甘い香りを漂わせ、色鮮やかな彼岸花を揺らします。

[2022/10/8~10/22]

すすきの穂が黄金色に輝き、菊の花は色とりどりに。秋の日暮れは釣瓶落とし、そろそろ燗酒が恋しくなります。

[2022/10/23~11/6]

ひんやりと風が冷たく、朝晩は吐く息が白くなり始める頃。山野は晩秋の色を帯び、菊の花は見頃を迎えます。

[2022/11/7~11/21]

街のあちらこちらでお火焚きの煙が立ち昇る頃。山々や街路樹が次々と色づき、京都に美しい緋色が広がります。

[2022/11/22~12/6]

山茶花が花開き、鴨川にはユリカモメが飛来。しぐれるごとに寒さが増し、いよいよ本格的な冬の到来です。

[2022/12/7~12/21]

南座のまねき看板が上がると、京都の街は師走のにぎわいに。寺社では大根焚きや煤払い、終い縁日が行われます。

[2022/12/22~2023/1/5]

陰が極まり陽となる冬至。「ん」のつくもんで気を転じ、をけら詣りに除夜の鐘、歳神様をお迎えします。

[2023/1/6~1/19]

風花が静かに散らつき、寒椿が冬景色に彩りを添える頃。初釜式や十日ゑびすに向かう人波でまちが華やぎます。

[2023/1/20~2/3]

雪中四友と呼ばれる花々が咲き、寒さの底、来る春の兆し。初弘法、初天神、初不動、そして節分行事で寺社が賑わいます。

2021年

[2021/4/4~4/19]

清浄明潔を略して清明。清らかな陽光を受けて草木が芽生え、万物がいきいきと生命を謳歌し、都大路は桜色に染まります。

[2021/4/20~5/4]

穀物の種を蒔き、春雨に生育の願いを託す穀雨。八十八夜、茶摘みの季節が始まり、京都の街は桜色から瑞々しい緑色に。

[2021/5/5~5/20]

木々の緑がまぶしく、暦の上では夏。納涼床、川床が始まり、そして行列は中止ですが、五月といえば平安の時代から続く葵祭です。

[2021/5/21~6/4]

日差しが強くなり、木々の緑は深く。京都には〝家の作りようは夏を旨とすべし〟と涼の知恵が息づき、町家では6月1日に建具替えをします。

[2021/6/5~6/20]

芒(のぎ)はイネ科植物の突起のこと。麦を刈り取り、田植えをする時期です。京都のそこかしこで紫陽花が美しく、夕闇を舞う蛍が夏の風情を運びます。

[2021/6/21~7/6]

東山が雨にけむり、梅雨まっただ中。630日、京都各地の神社では夏越祓(なごしのはらえ)を行い、残る半年の無病息災を祈願します。

[2021/7/7~7/21]

疫病や災厄の退散を祈願して平安時代に始まったとされる祇園祭。おごそかに神事が行われ、京都の厳しい暑さは盛りを迎えます。

[2021/7/22~8/6]

三方を山に囲まれ、夏の暑さが厳しい京都盆地。鴨川の飛び石に子供たちの歓声が響き、堤防に草いきれが立ち込めます。

[2021/8/7~8/22]

盆地特有の残暑が続く日々。おしょらいさんをお迎えし、五山の送り火が終わると、ようやく秋の気配が漂いはじめます。

[2021/8/23~9/6]

ようやく暑さが少し和らぎ、虫の音も聞こえはじめる頃。8月下旬の京都では町内の路地で地蔵盆が繰り広げられます。

[2021/9/7~9/22]

草花に朝露が白く光り、虫の声が夕暮れをつつむ頃。京都の各所で秋の名月を愛でる風雅な祭事が行われます。

[2021/9/23~10/7]

ひんやりと頬をなでる風、どこからか漂ってくる金木犀の香り。秋分を境に日が短くなり、秋の夜長の始まりです。

[2021/10/8~10/22]

朝夕は肌寒く草木に露が降りる頃。天高く澄みわたり、遠く比叡山や愛宕山の姿も冴え、夜空には月がくっきりと輝きます。

[2021/10/23~11/6]

露は霜へと変わり、風は冷たく、いちだんと秋が深まる頃。秋の特別拝観や秋祭りで京都の街はにぎわいを増します。

[2021/11/7~11/21]

暦の上では冬が始まり、火の温もりが恋しくなる頃。京都は至るところで紅葉が広がり、美しい緋色に染まります。

[2021/11/22~12/6]

街に落葉が舞い、北山に初雪が舞い始める時期。南座に顔見世のまねきが上がると、いよいよ京都の町は師走の様相に。

[2021/12/7~12/21]

京都盆地に比叡おろしが吹き、大根焚きの湯気が上がり、パタパタと煤払いの音が聞こえると、正月準備を始める頃です。

[2021/12/22~2022/1/4]

一陽来復とも称される冬至。新年がよい年となるよう願い、しめ縄や松を飾り、鏡餅を供え、歳神さまを迎える準備をします。

[2022/1/5~1/19]

寒の入りといわれ、京都の底冷えが身にしみる時期。初ゑびす、小正月と続いて、新年の華やぎも落ち着いてきます。

[2022/1/20~2/3]

二十四節気の締めくくり。一年の邪気を祓い、心新たに春を迎えるために、各地の寺社で節分行事が営まれます。

番外編

[〜番外編~]

祭礼や年中行事などの日をハレ(晴)、普段の日をケ(褻)とし、非日常と日常を使い分ける文化が京都の暮らしに息づいています。

[〜番外編~]

相性のいい旬の食材の組み合わせを出合いもんと言います。季節、食材、人と人、調和を尊ぶ京都らしい美意識がここに。