~二十四節気とともに綴る京都の食卓~

うつりかわる季節を楽しみ、旬を味わう、京都人の美意識と知恵。四季のある日本で、京都の人たちはひときわ季節を大切にしてきました。古くから季節の指標として用いられてきた「二十四節気」を軸として、名店の料理とともに、京都の暮らしにとけこむ食の風景を綴ります。

2021/10/23~11/6[

秋の土用は
"た"のつくもん。

土用は春夏秋冬にある雑節のひとつ。夏の土用がよく知られていますが、
秋の土用は辰の日に鯛をはじめとする「た」のつくものを食べるとよいとされます。
今年は10月23日(土)・11月4日(木) が土用の辰です。

2021/10/22

海老で鯛を釣るって本当?

“めでたい”の語呂合わせと華やかな赤い体色から、縁起のいい魚として日本人に愛されてきた鯛。赤い理由は、赤い海老を好んで食べるからだそうです。海老の殻にはアスタキサンチンという赤い色素が含まれているため、それを大量に食べる鯛の体表にも同じ色素が蓄積すると言われています。「海老で鯛を釣る」ということわざのとおり、まさに海老は定番の餌。甲殻類の殻もかみ砕く鋭い歯をもった、海老好きのグルメな魚なのです。

季めくり季の味■地階 京の銘店そう菜売場

〈いづう〉

鯛のうまみを皮まで味わう、
目にも美しい紅白の雀寿司。

小ぶりな天然の鯛を使用した、小鯛の雀寿司。皮目が空を舞う雀の羽のように見えることから、雀寿司と名づけられたと言われています。歯ごたえある皮の食感と身の柔らかさがどちらも楽しめ、鯛は皮と身のあいだに脂やうまみが詰まっているので、皮を引いた鯛とはまた違った奥深い味わいです。北海道産の昆布を甘酢に漬けた白板昆布で包んであり、昆布と鯛と寿司飯のうまみが見事にとけあい調和。昆布は召しあがる直前に外してください。冷酒や白ワインにもよく合います。

〈いづう〉

小鯛の雀寿司(1人前、6貫)税込2,916円
(1本、2人前)税込5,832円

〈京都𠮷兆〉
〈京都𠮷兆〉
 
 
 

"た"のつくもんも、おいしく。
嵐山本店と同じ製法のお醤油。

京都?兆 嵐山本店を訪れたお客様からたびたびお褒めがあったお造り用のお醬油を、同じ素材と製法でご家庭用にと開発した、うま味醤油。国産丸大豆の天然醸造濃口醤油に、国産の本枯かつお節と道南の真昆布を漬けこんだ、まろやかなうまみをもち、お刺身だけでなく、いろいろな料理に使えます。写真の料理はうま味醤油を使った大根のステーキ。フライパンを熱してたっぷりの米油で細切り昆布を炒め、いったん昆布を取り出してから、輪切りにした大根を両面とも香ばしく焼きます。そして大根が半分つかるほどの酒を入れ、昆布を戻して、みりんを加えて煮詰めたら、仕上げにうま味醤油をまわしかけてからめ、ベビーリーフとみじん切りの柚子を散らして、熱々のうちに。大根は土用の辰に食べる"た"のつく食材のひとつです。

〈京都?兆〉

うま味醤油(200ml)税込1,296円
●オンラインショッピングでも販売しています。詳しくはこちら

〈二傳〉

深まる秋の出合いもん、
鯛とかぶら。

"た"のつく鯛といえば、これからの季節はかぶらの出番。"出合いもん"と称される相性のいい組み合わせのひとつです。だしと淡口醤油、酒、みりんで炊くと、鯛のあらから出るうまみが、かぶらに染み込み、たまりません。よく似た組み合わせにぶり大根がありますが、鯛には大根だと苦みが強く、あっさりと淡泊で甘みのあるかぶらが好相性。二傳ではぶり大根には濃口醬油を使いますが、鯛かぶらは淡口醤油を使い、お酒の量も控えめにして上品な味つけに。千切りした柚子の風味が引き立てます。

〈二傳〉

惣菜など各種
[2種]税込1,080円から
[3種]税込1,620円から
[4種]税込2,160円から
鯛かぶら(1人前)税込540円相当
※写真の盛り付け例は4人前の量です。
※2パック以上での販売のため、単品販売はしておりません。

〈下鴨茶寮〉

鯛と帆立のうまみが広がる、
だしが主役のひと椀。

和食の基本であり、料亭の命である"だし"をご家庭で気軽に満喫。鯛と帆立のうまみがとけこんだコクのあるだしに、春雨もたっぷりと入れました。汁をよく吸い、つるつるもちもち独特の食感ある春雨が、だしのおいしさを異なる角度で楽しませてくれます。上品で洗練された味わいながら、見た目以上の食べごたえと満足感がある椀ものです 。

〈下鴨茶寮〉

料亭の旨味だし 鯛と帆立(1人前)税込864円

〈天ぷら八坂圓堂〉

薄衣をまとった、
色鮮やかな季節のかき揚げ。

四季折々の山海の幸を店内厨房で揚げた、さっくりとした天ぷらの数々。季節ごとのかき揚げも楽しみのひとつです。深まる秋の新作は、鳴門金時、ごぼう、金時人参、三度豆などを豪快に。ほくほくした食感や香り、とりどりの色のハーモニーが見事な一品。菊菜だけの鮮やかな緑のかき揚げ、まっ赤な紅しょうがも食卓に彩りを添えます。

〈天ぷら八坂圓堂〉

天ぷら各種(1個)
金時と牛蒡のかき揚げ、
菊菜のかき揚げ 各税込280円
紅しょうが 税込120円

  • ※本記事の内容はホームページ掲載時の情報です。
  • ※季節のメニューなど、商品により販売期間が限られていますので、ご了承ください。
  • ※やむを得ない事情により、食材の一部を変更する場合、予告なく価格変更、販売終了する場合がございます。
  • ※写真はいずれも盛り付け例です。皿などの容器は商品に含まれません。

2022年

[2022/2/4~2/18]

都大路に春一番が吹き、梅の花がほころび始めます。厳しい余寒が続く中にも、新しい季節の兆しはそこかしこに。

[2022/2/19~3/4]

雪が雨に変わる頃の意で雨水。北山の雪解け水が鴨川をうるおし、三寒四温を繰り返しながら、少しずつ春めいてきます。

けいちつ

[2022/3/5~3/20]

春の陽光に誘われ、冬ごもりしていた虫たちが動きだす。鴨川沿いの柳は鮮やかに芽吹き、早咲きの桜が花を開きはじめます。

しゅんぶん

[2022/3/21~4/4]

沈丁花の香りが漂い、椿や木蓮、雪柳、桜…と次々に咲き、つばめが飛来しはじめ、いよいよ本格的な春の到来です。

せいめい

[2022/4/5~4/19]

清らかな陽光にみちて、生きとし生けるものすべてがいきいきと生命を謳歌する季節。京都の街は桜色に染まります。

こく

[2022/4/20~5/4]

百穀春雨と呼ばれる恵みの雨がしっとりと大地に降りそそぐ頃。藤や石楠花、杜若が見頃を迎え、街路樹は瑞々しい若緑色へ。

りっ

[2022/5/5~5/20]

爽やかな青空が広がり、青もみじが目に眩しく、風薫る五月。納涼床、川床が始まり、夏日となる日も次第に多くなります。

しょうまん

[2022/5/21~6/5]

草木や枝葉が生い茂り、梅の実がふくらむ頃。衣替えや建具替えをすると、町並みも夏らしい装いに。

ぼうしゅ

[2022/6/6~6/20]

梅雨入りを迎え、雨に濡れた色とりどりの紫陽花が美しい頃。各地の寺社で田植祭や竹伐り会式など豊作を願う神事が行われます。

[2022/6/21~7/6]

都大路をしとしとと雨が濡らす頃。神社では夏越祓の神事が行われ、鉾町にお囃子の音色が響きだし、京都の夏はいよいよ本番へ。

[2022/7/7~7/22]

コンチキチンの音色が響き、夏の暑さはいよいよ盛り。3年ぶりの山鉾巡行が待ち遠しく例年にも増して町が活気づきます。

[2022/7/23~8/6]

朝早くから蝉が大合唱し、空には大きな入道雲が立ちのぼり、京の油照りと言われる盆地特有の蒸し暑さが続きます。

[2022/8/7~8/22]

じっとりとした残暑が続く毎日。万灯会や灯篭流しが行われ、五山の送り火を終えると、京都の街はようやく秋の気配に。

[2022/8/23~9/7]

赤とんぼの姿、鈴虫の声。山々の緑は濃くなり、夏の入道雲と秋の鰯雲が混じり合う、行き合いの空が見られる頃です。

[2022/9/8~9/22]

朝晩は日ごとに涼しさが増し、草花が白い朝露をむすぶ頃。萩の花がしだれ咲き、夜空には美しい月が輝きます。

[2022/9/23~10/7]

暑さ寒さも彼岸まで。肌に心地いい秋風が金木犀の甘い香りを漂わせ、色鮮やかな彼岸花を揺らします。

[2022/10/8~10/22]

すすきの穂が黄金色に輝き、菊の花は色とりどりに。秋の日暮れは釣瓶落とし、そろそろ燗酒が恋しくなります。

[2022/10/23~11/6]

ひんやりと風が冷たく、朝晩は吐く息が白くなり始める頃。山野は晩秋の色を帯び、菊の花は見頃を迎えます。

[2022/11/7~11/21]

街のあちらこちらでお火焚きの煙が立ち昇る頃。山々や街路樹が次々と色づき、京都に美しい緋色が広がります。

[2022/11/22~12/6]

山茶花が花開き、鴨川にはユリカモメが飛来。しぐれるごとに寒さが増し、いよいよ本格的な冬の到来です。

[2022/12/7~12/21]

南座のまねき看板が上がると、京都の街は師走のにぎわいに。寺社では大根焚きや煤払い、終い縁日が行われます。

[2022/12/22~2023/1/5]

陰が極まり陽となる冬至。「ん」のつくもんで気を転じ、をけら詣りに除夜の鐘、歳神様をお迎えします。

[2023/1/6~1/19]

風花が静かに散らつき、寒椿が冬景色に彩りを添える頃。初釜式や十日ゑびすに向かう人波でまちが華やぎます。

[2023/1/20~2/3]

雪中四友と呼ばれる花々が咲き、寒さの底、来る春の兆し。初弘法、初天神、初不動、そして節分行事で寺社が賑わいます。

2021年

[2021/4/4~4/19]

清浄明潔を略して清明。清らかな陽光を受けて草木が芽生え、万物がいきいきと生命を謳歌し、都大路は桜色に染まります。

[2021/4/20~5/4]

穀物の種を蒔き、春雨に生育の願いを託す穀雨。八十八夜、茶摘みの季節が始まり、京都の街は桜色から瑞々しい緑色に。

[2021/5/5~5/20]

木々の緑がまぶしく、暦の上では夏。納涼床、川床が始まり、そして行列は中止ですが、五月といえば平安の時代から続く葵祭です。

[2021/5/21~6/4]

日差しが強くなり、木々の緑は深く。京都には〝家の作りようは夏を旨とすべし〟と涼の知恵が息づき、町家では6月1日に建具替えをします。

[2021/6/5~6/20]

芒(のぎ)はイネ科植物の突起のこと。麦を刈り取り、田植えをする時期です。京都のそこかしこで紫陽花が美しく、夕闇を舞う蛍が夏の風情を運びます。

[2021/6/21~7/6]

東山が雨にけむり、梅雨まっただ中。630日、京都各地の神社では夏越祓(なごしのはらえ)を行い、残る半年の無病息災を祈願します。

[2021/7/7~7/21]

疫病や災厄の退散を祈願して平安時代に始まったとされる祇園祭。おごそかに神事が行われ、京都の厳しい暑さは盛りを迎えます。

[2021/7/22~8/6]

三方を山に囲まれ、夏の暑さが厳しい京都盆地。鴨川の飛び石に子供たちの歓声が響き、堤防に草いきれが立ち込めます。

[2021/8/7~8/22]

盆地特有の残暑が続く日々。おしょらいさんをお迎えし、五山の送り火が終わると、ようやく秋の気配が漂いはじめます。

[2021/8/23~9/6]

ようやく暑さが少し和らぎ、虫の音も聞こえはじめる頃。8月下旬の京都では町内の路地で地蔵盆が繰り広げられます。

[2021/9/7~9/22]

草花に朝露が白く光り、虫の声が夕暮れをつつむ頃。京都の各所で秋の名月を愛でる風雅な祭事が行われます。

[2021/9/23~10/7]

ひんやりと頬をなでる風、どこからか漂ってくる金木犀の香り。秋分を境に日が短くなり、秋の夜長の始まりです。

[2021/10/8~10/22]

朝夕は肌寒く草木に露が降りる頃。天高く澄みわたり、遠く比叡山や愛宕山の姿も冴え、夜空には月がくっきりと輝きます。

[2021/10/23~11/6]

露は霜へと変わり、風は冷たく、いちだんと秋が深まる頃。秋の特別拝観や秋祭りで京都の街はにぎわいを増します。

[2021/11/7~11/21]

暦の上では冬が始まり、火の温もりが恋しくなる頃。京都は至るところで紅葉が広がり、美しい緋色に染まります。

[2021/11/22~12/6]

街に落葉が舞い、北山に初雪が舞い始める時期。南座に顔見世のまねきが上がると、いよいよ京都の町は師走の様相に。

[2021/12/7~12/21]

京都盆地に比叡おろしが吹き、大根焚きの湯気が上がり、パタパタと煤払いの音が聞こえると、正月準備を始める頃です。

[2021/12/22~2022/1/4]

一陽来復とも称される冬至。新年がよい年となるよう願い、しめ縄や松を飾り、鏡餅を供え、歳神さまを迎える準備をします。

[2022/1/5~1/19]

寒の入りといわれ、京都の底冷えが身にしみる時期。初ゑびす、小正月と続いて、新年の華やぎも落ち着いてきます。

[2022/1/20~2/3]

二十四節気の締めくくり。一年の邪気を祓い、心新たに春を迎えるために、各地の寺社で節分行事が営まれます。

番外編

[〜番外編~]

祭礼や年中行事などの日をハレ(晴)、普段の日をケ(褻)とし、非日常と日常を使い分ける文化が京都の暮らしに息づいています。

[〜番外編~]

相性のいい旬の食材の組み合わせを出合いもんと言います。季節、食材、人と人、調和を尊ぶ京都らしい美意識がここに。