~二十四節気とともに綴る京都の食卓~

うつりかわる季節を楽しみ、旬を味わう、京都人の美意識と知恵。四季のある日本で、京都の人たちはひときわ季節を大切にしてきました。古くから季節の指標として用いられてきた「二十四節気」を軸として、名店の料理とともに、京都の暮らしにとけこむ食の風景を綴ります。

2021/5/5~5/20[

お祭りといえば鯖寿司。

鯖寿司は昔からハレのご馳走。
今でも京都三大祭や地域の氏神祭の日には当たり前のように食卓に並ぶ家庭が少なくありません。
お祭り行列やお神輿に繰り出せずとも、食卓でお祭り気分を味わいましょう。

2021/05/07

鯖街道を経て、まさにいい塩梅。

その昔、若狭でとれた魚介は、行商人に担がれ一昼夜かけて京都に運ばれました。他の魚も通った道が「鯖街道」と呼ばれるのは、京都の人にとって、鯖はやはり別格のご馳走なのでしょうか。鯖は腐敗を防ぐために一塩され、着く頃にはちょうどいい味加減に。そして、酢でしめ、鯖寿司をこしらえ、昆布で巻き、竹の皮に包む。塩、酢、昆布、竹の皮、それぞれの殺菌作用や調湿作用で保存性を高めながら、味わいを深める、先人の知恵と工夫です。

季めくり季の味■地階 京の銘店そう菜売場

〈いづう〉
〈いづう〉
 
 
 

この道一筋240年。時に磨かれた風格。

昆布に包まれた鯖姿寿司は、時間が経つにつれ、昆布のうまみが鯖に、鯖のうまみが寿司飯へと染みこみ、全体がひとつになじんでいきます。また、作りたては柔らかい鯖の身が、酢のはたらきで徐々に締まって食感が生まれ、半日から丸一日ほど経つと、うまみの詰まった脂が浮き出し"早熟れ寿司"特有の風味に。鮮度を旨とする江戸前寿司とは異なり、時とともに凝縮され深まる味わいが醍醐味。冷蔵庫に入れると、寿司飯が硬くなるので、常温(18~23℃程度)で保存し、昆布は召しあがる直前に外してください。美しい切り口は、初代 いづみや卯兵衛の名にちなみ、寿司飯で卯(うさぎ)の姿を表しています。

〈いづう〉

鯖姿寿司(1人前、6貫)税込2,430円

〈下鴨茶寮〉

お祭り行列さながら、彩り鮮やかに。

食卓がパッと華やぐ季節の料理を15cm角の折詰に少量ずつ彩りよく。しっとり柔らかい合鴨くんせい、ほどよい酸味と歯ごたえの筍梅サラダ、だしの風味が広がるジューシーな茄子煮をはじめ、有頭海老、鯖塩焼き、飛龍頭煮、粟麩揚げ煮、ほうれん草胡麻和え、甘藷レモン風味煮、巾着餅など。一品一品に手がかけられていて、味つけや食感のバラエティーに富んでいるので、一口ごとに新鮮な喜びがあります。ご飯が入っていないので、お酒の肴やお寿司のおともにも。

 

〈下鴨茶寮〉

京つづみ(1折)税込1,620円

〈京都?兆〉
〈京都?兆〉
 
 
 

"UMAMI"たっぷり、世界に誇る日本のだし。

色に三原色があるように、味わいを構成するのは甘・塩・酸・苦・旨の五味です。旨=うまみは日本で発見されたため、"UMAMI"が世界共通の言葉として使われ、ユネスコ無形文化遺産に登録された和食文化とともに世界から注目されています。うまみの正体は鰹節に含まれるイノシン酸、昆布に含まれるグルタミン酸といったアミノ酸で、単体よりも複数の相乗作用によって味に深みが増します。「?兆のだし」は厳選した本枯鰹節と羅臼昆布を使用。日本料理の命であるだしを家庭料理でも手軽にと開発された、だしパックです。食塩や醤油を加えず、化学調味料、食品添加物、酵母エキスなども不使用の"ほんまもんの味"。だしを取り終えた"だしがら"も、パックを破って取り出し、濃口醬油とみりんを加えて水分がなくなるまで炒ると、ふりかけとして無駄なく味わえます。写真の小鉢は、旬のアスパラガスの煮びたし。だしに塩をひとつまみ入れ、サッと煮ただけで奥行きある味わいに。

〈京都?兆〉

?兆のだし(だしパック5袋入)税込1,080円

〈二傳〉
〈二傳〉
〈二傳〉
 
 
 

旬を味わう炊いたん、焼いたん。

京都でおなじみの"炊いたん"。全国的には"炊く"といえば米飯をイメージする人が多く、お惣菜の場合は"煮る"では?と思われそうですが、"炊く"はひたひたの煮汁で食材にうまみや汁気を含ませたもの。"煮る"とは微妙に異なり、だしを大切にする京都らしい食文化の表れです。季節のおすすめ"炊いたん"は、もっちり甘みのある新小芋に、鶏のうまみを染みこませたもの。菖蒲の花姿の生麩や木の芽が初夏らしさを添えます。そして、もう一品、セロリやみょうがなどの香味野菜やセロリ酢とともに味わう、旬の白身魚 いさきの塩焼き。爽やかな香りや彩りに箸が進みます。

〈二傳〉

惣菜など各種[2種]税込1,080円から [3種]税込1,620円から [4種]税込2,160円から
新小芋と鶏の炊いたん(1人前)、いさきの塩焼き香味野菜添え(1人前)各税込540円相当
※2パック以上での販売のため、いずれも単品販売はしておりません。

  • ※本記事の内容はホームページ掲載時の情報です。
  • ※季節のメニューなど、商品により販売期間が限られていますので、ご了承ください。
  • ※やむを得ない事情により、食材の一部を変更する場合、予告なく価格変更、販売終了する場合がございます。
  • ※写真はいずれも盛り付け例です。皿などの容器は商品に含まれません。

2022年

[2022/2/4~2/18]

都大路に春一番が吹き、梅の花がほころび始めます。厳しい余寒が続く中にも、新しい季節の兆しはそこかしこに。

[2022/2/19~3/4]

雪が雨に変わる頃の意で雨水。北山の雪解け水が鴨川をうるおし、三寒四温を繰り返しながら、少しずつ春めいてきます。

けいちつ

[2022/3/5~3/20]

春の陽光に誘われ、冬ごもりしていた虫たちが動きだす。鴨川沿いの柳は鮮やかに芽吹き、早咲きの桜が花を開きはじめます。

しゅんぶん

[2022/3/21~4/4]

沈丁花の香りが漂い、椿や木蓮、雪柳、桜…と次々に咲き、つばめが飛来しはじめ、いよいよ本格的な春の到来です。

せいめい

[2022/4/5~4/19]

清らかな陽光にみちて、生きとし生けるものすべてがいきいきと生命を謳歌する季節。京都の街は桜色に染まります。

こく

[2022/4/20~5/4]

百穀春雨と呼ばれる恵みの雨がしっとりと大地に降りそそぐ頃。藤や石楠花、杜若が見頃を迎え、街路樹は瑞々しい若緑色へ。

りっ

[2022/5/5~5/20]

爽やかな青空が広がり、青もみじが目に眩しく、風薫る五月。納涼床、川床が始まり、夏日となる日も次第に多くなります。

しょうまん

[2022/5/21~6/5]

草木や枝葉が生い茂り、梅の実がふくらむ頃。衣替えや建具替えをすると、町並みも夏らしい装いに。

ぼうしゅ

[2022/6/6~6/20]

梅雨入りを迎え、雨に濡れた色とりどりの紫陽花が美しい頃。各地の寺社で田植祭や竹伐り会式など豊作を願う神事が行われます。

[2022/6/21~7/6]

都大路をしとしとと雨が濡らす頃。神社では夏越祓の神事が行われ、鉾町にお囃子の音色が響きだし、京都の夏はいよいよ本番へ。

[2022/7/7~7/22]

コンチキチンの音色が響き、夏の暑さはいよいよ盛り。3年ぶりの山鉾巡行が待ち遠しく例年にも増して町が活気づきます。

[2022/7/23~8/6]

朝早くから蝉が大合唱し、空には大きな入道雲が立ちのぼり、京の油照りと言われる盆地特有の蒸し暑さが続きます。

[2022/8/7~8/22]

じっとりとした残暑が続く毎日。万灯会や灯篭流しが行われ、五山の送り火を終えると、京都の街はようやく秋の気配に。

[2022/8/23~9/7]

赤とんぼの姿、鈴虫の声。山々の緑は濃くなり、夏の入道雲と秋の鰯雲が混じり合う、行き合いの空が見られる頃です。

[2022/9/8~9/22]

朝晩は日ごとに涼しさが増し、草花が白い朝露をむすぶ頃。萩の花がしだれ咲き、夜空には美しい月が輝きます。

[2022/9/23~10/7]

暑さ寒さも彼岸まで。肌に心地いい秋風が金木犀の甘い香りを漂わせ、色鮮やかな彼岸花を揺らします。

[2022/10/8~10/22]

すすきの穂が黄金色に輝き、菊の花は色とりどりに。秋の日暮れは釣瓶落とし、そろそろ燗酒が恋しくなります。

[2022/10/23~11/6]

ひんやりと風が冷たく、朝晩は吐く息が白くなり始める頃。山野は晩秋の色を帯び、菊の花は見頃を迎えます。

[2022/11/7~11/21]

街のあちらこちらでお火焚きの煙が立ち昇る頃。山々や街路樹が次々と色づき、京都に美しい緋色が広がります。

[2022/11/22~12/6]

山茶花が花開き、鴨川にはユリカモメが飛来。しぐれるごとに寒さが増し、いよいよ本格的な冬の到来です。

[2022/12/7~12/21]

南座のまねき看板が上がると、京都の街は師走のにぎわいに。寺社では大根焚きや煤払い、終い縁日が行われます。

[2022/12/22~2023/1/5]

陰が極まり陽となる冬至。「ん」のつくもんで気を転じ、をけら詣りに除夜の鐘、歳神様をお迎えします。

[2023/1/6~1/19]

風花が静かに散らつき、寒椿が冬景色に彩りを添える頃。初釜式や十日ゑびすに向かう人波でまちが華やぎます。

[2023/1/20~2/3]

雪中四友と呼ばれる花々が咲き、寒さの底、来る春の兆し。初弘法、初天神、初不動、そして節分行事で寺社が賑わいます。

2021年

[2021/4/4~4/19]

清浄明潔を略して清明。清らかな陽光を受けて草木が芽生え、万物がいきいきと生命を謳歌し、都大路は桜色に染まります。

[2021/4/20~5/4]

穀物の種を蒔き、春雨に生育の願いを託す穀雨。八十八夜、茶摘みの季節が始まり、京都の街は桜色から瑞々しい緑色に。

[2021/5/5~5/20]

木々の緑がまぶしく、暦の上では夏。納涼床、川床が始まり、そして行列は中止ですが、五月といえば平安の時代から続く葵祭です。

[2021/5/21~6/4]

日差しが強くなり、木々の緑は深く。京都には〝家の作りようは夏を旨とすべし〟と涼の知恵が息づき、町家では6月1日に建具替えをします。

[2021/6/5~6/20]

芒(のぎ)はイネ科植物の突起のこと。麦を刈り取り、田植えをする時期です。京都のそこかしこで紫陽花が美しく、夕闇を舞う蛍が夏の風情を運びます。

[2021/6/21~7/6]

東山が雨にけむり、梅雨まっただ中。630日、京都各地の神社では夏越祓(なごしのはらえ)を行い、残る半年の無病息災を祈願します。

[2021/7/7~7/21]

疫病や災厄の退散を祈願して平安時代に始まったとされる祇園祭。おごそかに神事が行われ、京都の厳しい暑さは盛りを迎えます。

[2021/7/22~8/6]

三方を山に囲まれ、夏の暑さが厳しい京都盆地。鴨川の飛び石に子供たちの歓声が響き、堤防に草いきれが立ち込めます。

[2021/8/7~8/22]

盆地特有の残暑が続く日々。おしょらいさんをお迎えし、五山の送り火が終わると、ようやく秋の気配が漂いはじめます。

[2021/8/23~9/6]

ようやく暑さが少し和らぎ、虫の音も聞こえはじめる頃。8月下旬の京都では町内の路地で地蔵盆が繰り広げられます。

[2021/9/7~9/22]

草花に朝露が白く光り、虫の声が夕暮れをつつむ頃。京都の各所で秋の名月を愛でる風雅な祭事が行われます。

[2021/9/23~10/7]

ひんやりと頬をなでる風、どこからか漂ってくる金木犀の香り。秋分を境に日が短くなり、秋の夜長の始まりです。

[2021/10/8~10/22]

朝夕は肌寒く草木に露が降りる頃。天高く澄みわたり、遠く比叡山や愛宕山の姿も冴え、夜空には月がくっきりと輝きます。

[2021/10/23~11/6]

露は霜へと変わり、風は冷たく、いちだんと秋が深まる頃。秋の特別拝観や秋祭りで京都の街はにぎわいを増します。

[2021/11/7~11/21]

暦の上では冬が始まり、火の温もりが恋しくなる頃。京都は至るところで紅葉が広がり、美しい緋色に染まります。

[2021/11/22~12/6]

街に落葉が舞い、北山に初雪が舞い始める時期。南座に顔見世のまねきが上がると、いよいよ京都の町は師走の様相に。

[2021/12/7~12/21]

京都盆地に比叡おろしが吹き、大根焚きの湯気が上がり、パタパタと煤払いの音が聞こえると、正月準備を始める頃です。

[2021/12/22~2022/1/4]

一陽来復とも称される冬至。新年がよい年となるよう願い、しめ縄や松を飾り、鏡餅を供え、歳神さまを迎える準備をします。

[2022/1/5~1/19]

寒の入りといわれ、京都の底冷えが身にしみる時期。初ゑびす、小正月と続いて、新年の華やぎも落ち着いてきます。

[2022/1/20~2/3]

二十四節気の締めくくり。一年の邪気を祓い、心新たに春を迎えるために、各地の寺社で節分行事が営まれます。

番外編

[〜番外編~]

祭礼や年中行事などの日をハレ(晴)、普段の日をケ(褻)とし、非日常と日常を使い分ける文化が京都の暮らしに息づいています。

[〜番外編~]

相性のいい旬の食材の組み合わせを出合いもんと言います。季節、食材、人と人、調和を尊ぶ京都らしい美意識がここに。