~二十四節気とともに綴る京都の食卓~

うつりかわる季節を楽しみ、旬を味わう、京都人の美意識と知恵。四季のある日本で、京都の人たちはひときわ季節を大切にしてきました。古くから季節の指標として用いられてきた「二十四節気」を軸として、名店の料理とともに、京都の暮らしにとけこむ食の風景を綴ります。

2022/3/21~4/4[

春を味わう、
出合いもん。

出合いもんとは同じ季節に出回り、相性がいい食材の組み合わせ。
春なら筍とわかめが知られていますが、遠く離れた土地の山の幸と海の幸がよき伴侶になるとは素敵ですね。
様々な出合いもん、旬を味わう喜びを存分に!

2022/03/25

味の相互作用で
味わい深く。

味わいを構成する甘・塩・酸・苦・旨の五味。これらが互いに影響し合うことを味の相互作用といいます。例えばお汁粉に塩を入れると甘さが引き立つ(甘+塩)といった対比効果、魚の塩焼きにレモンを絞ると塩辛さが和らぐ(酸+塩)といった抑制効果、昆布と鰹節でだしを取ると旨味が増す(旨+旨)といった相乗効果です。季節の出合いもんにも先人の知恵によって、こういった効果が巧みに生かされているのかもしれませんね。

季めくり季の味■地階 京の銘店そう菜売場

〈下鴨茶寮〉

春らしい彩りを散りばめた、
桜鯛×たけのこ。

風味豊かな鯛とみずみずしい筍を主役に、菜の花や若布(わかめ)、一寸豆(そら豆)、海老などを合わせ、彩り鮮やかなサラダに仕立てました。鯛と菜の花、筍と若布の組み合わせも相性がいいことで知られ、いわば出合いもんのオンパレードともいうべき、楽しい一皿。鯛は筍を巻き、こんがり香ばしく焼き目をつけています。別添えのだしをたっぷりとかけて召し上がってください。

〈下鴨茶寮〉

鯛と筍の彩サラダ(1人前)税込1,080円

〈天ぷら八坂圓堂〉

薄衣で軽くさっくりと、
花菜×桜海老。

花菜は独特の風味とほろ苦さがあり、βカロチンやカルシウムがたっぷり。豊臣秀吉の時代から切り花用として栽培されていた伏見寒咲き菜種がのちに食用に改良して栽培されるようになり、今では京のブランド産品に認定されています。桜海老は美しい色と味わいから海の宝石とも。花菜と桜海老という、その名を聞くだけでも春らしさに満ちた、季節の出合いもんの新作かき揚げです。名物 とうもろこしの天ぷらは、絶妙な切り方によって一粒一粒が弾けるような食感。大海老はぷりっとしたジューシーなうまみと甘みがたまりません。

〈天ぷら八坂圓堂〉

天ぷら各種(1個)
とうもろこし 税込160円
大海老 税込260円
花菜と桜海老のかき揚げ 税込280円

〈二傳〉

ふわりと香りが広がる、
桜鱒×ふき。

今の時期に獲れる鱒(ます)は桜鱒とも呼ばれ、脂がのって絶品。すりつぶした蕗(ふき)の葉と卵を練りこんだ白味噌をのせて焼きました。蕗は春を告げる山菜。深みのある独特の香りをもち、季節の香りを大切にする日本の料理では、紫蘇や木の芽、柚子などと並ぶ名脇役のひとつです。鱒は脂にクセがなく、ふわりと柔らかく、蕗のほろ苦さと白味噌の甘みがよく合います。

〈二傳〉

惣菜など各種
[2種]税込1,080円から
[3種]税込1,620円から
[4種]税込2,160円から
鱒の蕗味噌焼き(1人前)税込540円相当
※2パック以上での販売のため、単品販売はしておりません。

〈京都𠮷兆〉
〈京都𠮷兆〉
 
 
 

だしの風味が引き立てる、
わかめ×たけのこ。

春の出合いもんといえば、まっさきに挙がる"若竹"こと、若布(わかめ)と筍。写真の料理は京都?兆の調味料で風味豊かに仕上げた"筍ごはんととろとろ若布"です。「?兆のだし」を引いて冷まし、塩、淡口・濃口醤油、酒を適量加え、筍、うす揚げとともに、米を炊きます。若布は耐熱ボウルに入れて電子レンジでとろとろになるまで熱してから、2倍に希釈した「うまだし」で炊き、筍ごはんの上に。だしのうまみが広がり、しみじみと春の幸せを感じます。「?兆のだし」は日本料理の命であるだしを家庭料理でも手軽に味わっていただけるようにと開発した、鰹節と昆布のだしパック。コクの深い本枯鰹節、うまみが強い天然の羅臼昆布を使用し、余計なものは何も加えていません。「うまだし」は鹿児島産のかつお節、北海道産の昆布を使用し、丸大豆しょうゆ、本みりんで風味豊かに仕上げた、京都?兆特製のだし醤油です。煮もの、麺つゆ、天つゆなど幅広く使えます。

〈京都?兆〉

?兆のだし(だしパック5袋入)税込1,080円
●オンラインストアでも販売しています。詳しくはこちら
うまだし(250ml)税込864円
●オンラインストアでも販売しています。詳しくはこちら

  • ※本記事の内容はホームページ掲載時の情報です。
  • ※季節のメニューなど、商品により販売期間が限られていますので、ご了承ください。
  • ※やむを得ない事情により、食材の一部を変更する場合、予告なく価格変更、販売終了する場合がございます。
  • ※写真はいずれも盛り付け例です。皿などの容器は商品に含まれません。

2022年

[2022/2/4~2/18]

都大路に春一番が吹き、梅の花がほころび始めます。厳しい余寒が続く中にも、新しい季節の兆しはそこかしこに。

[2022/2/19~3/4]

雪が雨に変わる頃の意で雨水。北山の雪解け水が鴨川をうるおし、三寒四温を繰り返しながら、少しずつ春めいてきます。

けいちつ

[2022/3/5~3/20]

春の陽光に誘われ、冬ごもりしていた虫たちが動きだす。鴨川沿いの柳は鮮やかに芽吹き、早咲きの桜が花を開きはじめます。

しゅんぶん

[2022/3/21~4/4]

沈丁花の香りが漂い、椿や木蓮、雪柳、桜…と次々に咲き、つばめが飛来しはじめ、いよいよ本格的な春の到来です。

せいめい

[2022/4/5~4/19]

清らかな陽光にみちて、生きとし生けるものすべてがいきいきと生命を謳歌する季節。京都の街は桜色に染まります。

こく

[2022/4/20~5/4]

百穀春雨と呼ばれる恵みの雨がしっとりと大地に降りそそぐ頃。藤や石楠花、杜若が見頃を迎え、街路樹は瑞々しい若緑色へ。

りっ

[2022/5/5~5/20]

爽やかな青空が広がり、青もみじが目に眩しく、風薫る五月。納涼床、川床が始まり、夏日となる日も次第に多くなります。

しょうまん

[2022/5/21~6/5]

草木や枝葉が生い茂り、梅の実がふくらむ頃。衣替えや建具替えをすると、町並みも夏らしい装いに。

ぼうしゅ

[2022/6/6~6/20]

梅雨入りを迎え、雨に濡れた色とりどりの紫陽花が美しい頃。各地の寺社で田植祭や竹伐り会式など豊作を願う神事が行われます。

[2022/6/21~7/6]

都大路をしとしとと雨が濡らす頃。神社では夏越祓の神事が行われ、鉾町にお囃子の音色が響きだし、京都の夏はいよいよ本番へ。

[2022/7/7~7/22]

コンチキチンの音色が響き、夏の暑さはいよいよ盛り。3年ぶりの山鉾巡行が待ち遠しく例年にも増して町が活気づきます。

[2022/7/23~8/6]

朝早くから蝉が大合唱し、空には大きな入道雲が立ちのぼり、京の油照りと言われる盆地特有の蒸し暑さが続きます。

[2022/8/7~8/22]

じっとりとした残暑が続く毎日。万灯会や灯篭流しが行われ、五山の送り火を終えると、京都の街はようやく秋の気配に。

[2022/8/23~9/7]

赤とんぼの姿、鈴虫の声。山々の緑は濃くなり、夏の入道雲と秋の鰯雲が混じり合う、行き合いの空が見られる頃です。

[2022/9/8~9/22]

朝晩は日ごとに涼しさが増し、草花が白い朝露をむすぶ頃。萩の花がしだれ咲き、夜空には美しい月が輝きます。

[2022/9/23~10/7]

暑さ寒さも彼岸まで。肌に心地いい秋風が金木犀の甘い香りを漂わせ、色鮮やかな彼岸花を揺らします。

[2022/10/8~10/22]

すすきの穂が黄金色に輝き、菊の花は色とりどりに。秋の日暮れは釣瓶落とし、そろそろ燗酒が恋しくなります。

[2022/10/23~11/6]

ひんやりと風が冷たく、朝晩は吐く息が白くなり始める頃。山野は晩秋の色を帯び、菊の花は見頃を迎えます。

[2022/11/7~11/21]

街のあちらこちらでお火焚きの煙が立ち昇る頃。山々や街路樹が次々と色づき、京都に美しい緋色が広がります。

[2022/11/22~12/6]

山茶花が花開き、鴨川にはユリカモメが飛来。しぐれるごとに寒さが増し、いよいよ本格的な冬の到来です。

[2022/12/7~12/21]

南座のまねき看板が上がると、京都の街は師走のにぎわいに。寺社では大根焚きや煤払い、終い縁日が行われます。

[2022/12/22~2023/1/5]

陰が極まり陽となる冬至。「ん」のつくもんで気を転じ、をけら詣りに除夜の鐘、歳神様をお迎えします。

[2023/1/6~1/19]

風花が静かに散らつき、寒椿が冬景色に彩りを添える頃。初釜式や十日ゑびすに向かう人波でまちが華やぎます。

[2023/1/20~2/3]

雪中四友と呼ばれる花々が咲き、寒さの底、来る春の兆し。初弘法、初天神、初不動、そして節分行事で寺社が賑わいます。

2021年

[2021/4/4~4/19]

清浄明潔を略して清明。清らかな陽光を受けて草木が芽生え、万物がいきいきと生命を謳歌し、都大路は桜色に染まります。

[2021/4/20~5/4]

穀物の種を蒔き、春雨に生育の願いを託す穀雨。八十八夜、茶摘みの季節が始まり、京都の街は桜色から瑞々しい緑色に。

[2021/5/5~5/20]

木々の緑がまぶしく、暦の上では夏。納涼床、川床が始まり、そして行列は中止ですが、五月といえば平安の時代から続く葵祭です。

[2021/5/21~6/4]

日差しが強くなり、木々の緑は深く。京都には〝家の作りようは夏を旨とすべし〟と涼の知恵が息づき、町家では6月1日に建具替えをします。

[2021/6/5~6/20]

芒(のぎ)はイネ科植物の突起のこと。麦を刈り取り、田植えをする時期です。京都のそこかしこで紫陽花が美しく、夕闇を舞う蛍が夏の風情を運びます。

[2021/6/21~7/6]

東山が雨にけむり、梅雨まっただ中。630日、京都各地の神社では夏越祓(なごしのはらえ)を行い、残る半年の無病息災を祈願します。

[2021/7/7~7/21]

疫病や災厄の退散を祈願して平安時代に始まったとされる祇園祭。おごそかに神事が行われ、京都の厳しい暑さは盛りを迎えます。

[2021/7/22~8/6]

三方を山に囲まれ、夏の暑さが厳しい京都盆地。鴨川の飛び石に子供たちの歓声が響き、堤防に草いきれが立ち込めます。

[2021/8/7~8/22]

盆地特有の残暑が続く日々。おしょらいさんをお迎えし、五山の送り火が終わると、ようやく秋の気配が漂いはじめます。

[2021/8/23~9/6]

ようやく暑さが少し和らぎ、虫の音も聞こえはじめる頃。8月下旬の京都では町内の路地で地蔵盆が繰り広げられます。

[2021/9/7~9/22]

草花に朝露が白く光り、虫の声が夕暮れをつつむ頃。京都の各所で秋の名月を愛でる風雅な祭事が行われます。

[2021/9/23~10/7]

ひんやりと頬をなでる風、どこからか漂ってくる金木犀の香り。秋分を境に日が短くなり、秋の夜長の始まりです。

[2021/10/8~10/22]

朝夕は肌寒く草木に露が降りる頃。天高く澄みわたり、遠く比叡山や愛宕山の姿も冴え、夜空には月がくっきりと輝きます。

[2021/10/23~11/6]

露は霜へと変わり、風は冷たく、いちだんと秋が深まる頃。秋の特別拝観や秋祭りで京都の街はにぎわいを増します。

[2021/11/7~11/21]

暦の上では冬が始まり、火の温もりが恋しくなる頃。京都は至るところで紅葉が広がり、美しい緋色に染まります。

[2021/11/22~12/6]

街に落葉が舞い、北山に初雪が舞い始める時期。南座に顔見世のまねきが上がると、いよいよ京都の町は師走の様相に。

[2021/12/7~12/21]

京都盆地に比叡おろしが吹き、大根焚きの湯気が上がり、パタパタと煤払いの音が聞こえると、正月準備を始める頃です。

[2021/12/22~2022/1/4]

一陽来復とも称される冬至。新年がよい年となるよう願い、しめ縄や松を飾り、鏡餅を供え、歳神さまを迎える準備をします。

[2022/1/5~1/19]

寒の入りといわれ、京都の底冷えが身にしみる時期。初ゑびす、小正月と続いて、新年の華やぎも落ち着いてきます。

[2022/1/20~2/3]

二十四節気の締めくくり。一年の邪気を祓い、心新たに春を迎えるために、各地の寺社で節分行事が営まれます。

番外編

[〜番外編~]

祭礼や年中行事などの日をハレ(晴)、普段の日をケ(褻)とし、非日常と日常を使い分ける文化が京都の暮らしに息づいています。

[〜番外編~]

相性のいい旬の食材の組み合わせを出合いもんと言います。季節、食材、人と人、調和を尊ぶ京都らしい美意識がここに。