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9月3日(水)→30日(火)
11階 gallery UG Osaka Umeda
gallery UG Osaka Umedaにて、田島享央己の個展を開催いたします。描き下ろしの新作、ラフなタッチで描かれた自由奔放なスタイルの作品(doodle)を中心に多数展示しております。ぜひご高覧ください。
田島享央己が、線の世界に遊ぶ。その筆致は軽やかで奔放ながら、どこか律儀に構築されている。画面に現れるのは、パンツから何かがこぼれ出た動物たち、仏頂面でタクシーを呼ぶウサギ、帽子をかぶった紳士風の猫──いずれも一見ユーモラスでありながら、じっと見るほどに得体の知れない静けさを湛えている。本展では、「hey taxi」や「gentleman」シリーズを中心に、猫、イカ、クマ、タコ、ウサギ、昆虫など、多様な生きものたちが描かれた100点を超えるドゥードゥル作品が一堂に集結。それらは「ドローイング」と呼ぶにはあまりに自己完結的で、「イラスト」と括るには余白が多すぎる。まるで作家の内奥から、こぼれ落ちた断片のようでもある。整った線から、ふいに外れるもの。その逸脱こそが、私たちの想像力を呼び覚ます。
私の描線に現れるものは、意図によって導かれたものではない。しかしながら、そこに顕在する諸像──正装をまとう動物、仏頂面のウサギ、あるいは予告なく顔を覗かせるちんこ──はいずれも、私の内部に伏在する何らかの要請によって召喚されたものである。本来、ちんこという語は、図像や言語の場において避けられる傾向にある。だが私にとってそれは、いかなる道徳的規範によっても裁断されるべきものではなく、むしろ「形としての純度」、あるいは「線の原初的な戯れ」として捉えられるべき対象である。かの形状は、単なる生理的現象を超え、古代の土器に見られる突起と同様、造形の起点にして終点たる力を宿している。それは笑いを誘うものではある。だが同時に、視線を逸らせぬ何かをも有している。ちんこは、造形における「逸脱の徴」であり、「無意識の痕跡」でもある。彫刻において私は物質と向き合い、沈黙の構築に努めてきた。一方、紙上における線はより奔放であり、時として作者の意識を越えて、滑稽なるもの、あるいは猥雑とされるもの──すなわちちんこをも召喚する。その出現は偶然にして必然であり、美と品格の均衡を乱すもののようでいて、往々にして、作品全体に一抹の生命を吹き込む。本展に集うドゥードゥル群は、いずれも不完全である。しかし、だからこそ誠実であり、静かでありながら語りかけてくる。(こんにちはしてくる)私は彼らのなかに、かつて自らが見失った小さな自由の痕跡と、未だ名づけられぬ想念のかたちを見ている。田島 享央己
メディア:木炭(木炭紙)サイズ:65×50cm(シートサイズ)制作年:2025
税込638,000円
メディア:鉛筆、色鉛筆(クロッキー用紙)29.5×21cm(シートサイズ)制作年:2025
税込251,350円
メディア:木炭(クロッキー用紙)29.7×21cm(シートサイズ)制作年:2025
税込152,350円
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