2023.04.28
ユーハイム自慢の
バタークリームの美味しさを
今改めて誇りたい、
ユーハイムクランツ。

バタークリームケーキは私たちの誇り
「ユーハイムの看板といえばバウムクーヘン。でも、今日はあえて裏の看板商品をお持ちしました。ユーハイムクランツです」
白いケーキボックスを持って現れたのは、ドイツの国家資格、製菓マイスターを持つ尾下学さん。

「創業当初から長年、“フランクフルタークランツ” として親しまれた商品です。このロングセラー商品を、さらに未来につなげていくために2022年にリニューアルし、ブランド名を掲げたお菓子として改めて発表したんです」
フランクフルタークランツは、「フランクフルトの王冠」という意味をもつ伝統的なドイツ菓子。バタークリームとスポンジを合わせた、ごくシンプルなケーキです。

昭和初期、冷蔵庫の普及がまだまだ一般的ではなかった頃、常温でも数日保存できるバタークリームケーキは“ケーキの定番”でした。バブル期以降、生クリームやその他の多様なケーキの登場でしばらくその影は薄くなっていましたが「それが今また、熱く注目されはじめているんですよ」と、尾下さんは少しうれしそう。
「ユーハイムではバウムクーヘンと同様に長く愛されるお菓子で、ドイツではバタークリームケーキもまだまだ現役。バタークリームの美味しさこそ、実は、ドイツ菓子特有の職人技の結晶なんです」
バターとメレンゲを合わせてシンプルにつくるバタークリーム。しっかりと白くなるまで泡立てると、空気を含んでまっ白に仕上がります。しっかりとコクがあって、口溶けのよいバタークリームは、ユーハイムの誇りなのだと尾下さんはいいます。
「改めて、この美味しさをたくさんの方にお届けしたいですね」

留学時代、食べ歩いたドイツのお菓子
ユーハイムには、尾下さんはじめ現在5人のマイスターが在籍します。マイスター資格を取るため、ドイツに留学していた尾下さん。

「ヨーロッパの中でも、優等生、地味、秩序を重んじる。そういうところに、とてもシンパシーを感じました」
留学中にリサーチがてら、ドイツ全土のお菓子を食べ歩いたといいます。


「日本ではポピュラーなバウムクーヘンですが、実はドイツではクリスマスギフトとして贈られる以外、あまり食べられていませんでした。もしかすると、知らない若者もいるかもしれないくらいです。世界的にも、ほとんど知られていないお菓子なのではないでしょうか」
今や、全国に1,000種類ものバウムクーヘンがあるといわれる日本に暮らしているわたしたちにとっては驚きの事実。対して、フランクフルタークランツは、ドイツでは普段からカフェで食べるような庶民的なケーキなのだとか。
「基本的にドイツは喫茶店兼お菓子屋さんのようなカフェスタイルなんです。ホールのケーキをお店でカット売りしていて、そのままコーヒーと一緒に食べるような。生地とクリームそのものを味わう、素朴なお菓子がほとんどです」

シンプルだけど、しっかりしたものをつくる。フランスのような華やかさはないけれど、その積み重ねを大切にするのがドイツらしさ。「古い車を直しながら長く乗るのがかっこいい、みたいな感じですかね」と尾下さん。
「お菓子も、材料の品質がいいからシンプルでも美味しい。それがいいんですね」。

素材を吟味しているからこそ
現在、マイスターとしてのキャリアを活かし、安心・安全な材料の選定や交渉にも携わっている尾下さん。
「1969年に社内ガイドラインが作成されてから、食品添加物を使わないようにというのが基本にあります」


ドイツの伝統的なフランクフルタークランツはキャラメリゼしたナッツで覆われていますが、ユーハイムの創業者カール・ユーハイムは日本のバターの美味しさに感銘を受け、この伝統菓子を純白のバタークリームとアーモンドシュガーをまとったケーキにつくり替えたといわれています。
「北海道の生乳100%の、国産バターを使うからこその美味しさを味わっていただきたいですね」
ユーハイムクランツのスポンジ生地は、舌触りよく、口に入れた時にほろほろと崩れやすいように。バタークリームは、しっかりとコクがあって、口溶けよく。シンプルな中に細やかな職人技が詰め込まれています。
「去年のリニューアルでは、表面のアーモンドシュガーをアップデートしました。砕いたアーモンドを砂糖でコーティングして、アーモンドの食感がしっかりでるようにしています」

シンプルだから美味しい。シンプルだから難しい。シンプルだからこそ、素材が大切。
「子どもにとってのお菓子の入門が、ユーハイムであってほしいですね」
そう願うものづくりには、裏も表もありません。ユーハイムクランツの純白は、そのままユーハイムの美学にも通じているようです。

【神戸スイーツ ノオト/ユーハイム】 ユーハイムは、ドイツ人菓子職人のカール・ユーハイムが、1922(大正11)年に洋菓子店「E・ユーハイム」として横浜に創業。横浜の店が関東大震災で被災したため神戸に移転し、以来100余年、ユーハイム夫妻の「平和を創り出す人達は幸せである」という信念をもとに、日本におけるバウムクーヘン文化、洋菓子の歴史を重ね続けています。三宮のユーハイムは、戦後の混乱、創業者の不在をも乗り越えて人気店となり、かの文豪・谷崎潤一郎も常連客だったとか。「純正自然宣言」を掲げた素材への探究、職人の技術を機械学習するバウムクーヘンAI職人「THEO(テオ)」を開発するなど、新たな取り組みも注目されています。
※所属部門/役割は取材時のものです。
Photo:坂下 丈太郎
Text:高橋 マキ

〈ユーハイム〉
ユーハイムクランツ08 税込864円
ユーハイムクランツ15 税込1,620円
ユーハイムクランツ22 税込2,376円
大丸神戸店 地1階 洋菓子売場
大丸松坂屋オンラインストアでもお買い求めいただけます。
※ユーハイムクランツは店頭での販売のみ、オンラインストアでのお取り扱いはございません。
あしからずご了承くださいませ。