2023.08.21

チョコレート好きにこそ食べてほしい焼き菓子。ゴンチャロフのコルベイユ。

ゴンチャロフ

目次

チョコレート好きにこそ食べてほしい焼き菓子。ゴンチャロフのコルベイユ。

アツアツの生地を手巻きで

「今日はね、ちょっと特別に再現してみたんですよ」

ゴンチャロフの製品開発室に用意されていたのは、薄く平らに焼いたラングドシャの生地。円でも四角でもなく、アルファベットのDのような独特の形に焼かれています。

ゴンチャロフの焼き菓子「コルベイユ」は、1976年の誕生以来、愛され続けているロングセラー
ゴンチャロフの焼き菓子「コルベイユ」は、1976年の誕生以来、愛され続けているロングセラー

「僕が入社したのが1980(昭和55)年。そのころは生産がまだオートメーション化されていなくてね。だから、アツアツの窯の中からこれがどんどん出てくるのを待ち構えて、こんなふうに手巻きで一つひとつ、鉄の棒に巻きつけて、筒型にしたんです」

窯場の前も暑いし、この棒もどんどん熱くなっていくからね(笑)と、身振り手振りを加えて愉快に思い出を語ってくださったのは、製品開発室室長の藤原克也さん。

入社当初、コルベイユを手巻きで製造していた当時を再現してくださった、製品開発室室長の藤原克也さん
入社当初、コルベイユを手巻きで製造していた当時を再現してくださった、製品開発室室長の藤原克也さん
コルベイユが誕生した当初は限定商品。一つひとつ、こうして手巻きでつくっていた
コルベイユが誕生した当初は限定商品。一つひとつ、こうして手巻きでつくっていた

藤原さんがこの手巻きを体験をしたのが入社2年目のことだというから、40年以上前のこと。ゴンチャロフのロングセラー菓子「コルベイユ」の誕生が1976(昭和51)年というから、まだ誕生間もない。その後、製造工程がフルオートメーション化する前の貴重な光景です。

「高度経済成長とバブルの間になるのかな。僕らが入社したときは、何もかもがよく売れて、前月比120%、140%と売り上げは常に右肩上がり。朝まだ早すぎて真っ暗の中、工場に入って仕事してましたよ。今の時代では、考えられないでしょう?」

ゴンチャロフ

チョコレート大好き少年時代

会社の古い資料は、阪神淡路大震災でその多くが失われてしまったが、残っている創業間もないころの写真を見ても「CHOCOLATE FACTORY M. GONCHAROFF & CO./高級チョコレート製造所 エム・ゴンチャロフ商會」の看板を掲げているゴンチャロフ。

大正時代に日本で初めて手づくりのファンシーチョコレート、ウイスキーボンボンをつくりだしたといわれています。

前列真ん中のスーツ姿が創業者の三戸伊之助。その隣に立つのが合同創業者のマカロフ・ゴンチャロフ氏と伝えられている
前列真ん中のスーツ姿が創業者の三戸伊之助。その隣に立つのが合同創業者のマカロフ・ゴンチャロフ氏と伝えられている

「僕ね、小さいころからチョコレートが好きでね。小学生からずっと、自分のこづかいは全部チョコレートに注ぎ込んでたんです」

昭和40年代。小学生だった藤原さんのおこづかいで買える当時のチョコレートといえば、高級ラインでも森永ハイクラウン、不二家のLOOKチョコレートがせいぜいだったでしょうか。

「そのころ、地元の駅前に明石デパートというのがあってね。その一等地にゴンチャロフが入っていて、キラキラ光るチョコレートが売ってたんですよ」

創業50周年の頃のゴンチャロフ製菓会社案内より。当時の直営店の華やかさが伝わってくる
創業50周年の頃のゴンチャロフ製菓会社案内より。当時の直営店の華やかさが伝わってくる

小学生には到底手が届かない憧れのチョコレートだったのを、ある日、母親が買ってきてくれた。「1日1個しか食べたらあかんでーって言われながらね。ほんまにうれしかったなあ。こんな旨いチョコレートがあるんかな、って」

チョコレートをこよなく愛した藤原少年は、一分の迷いもなく「チョコレートのゴンチャロフ」に入社。半世紀経った今も、製品開発室の長として、真摯にチョコレート菓子に向き合う日々を送っているのです。

ゴンチャロフ

生地とチョコレートのハーモニー

コルベイユは、アーモンドをのせたチュイール生地と、軽やかな口どけのラングドシャ生地を焼き上げて、アーモンドミルクチョコレートとホワイトチョコレートをそれぞれ流し込んだロールクッキー。1976年の誕生以来、改良を重ねながら、愛され続けているロングセラーです。

「でもね、クッキー生地の中にチョコレートが入ってますよという簡単なことではなくてね」と藤原さんがいいます。

「ほかのどこにもない、コルベイユという唯一無二の焼き菓子なんですよ」

ゴンチャロフ

そのことを思い知ったのは、7年ほど前。今の開発室のメンバーと一緒に生地とチョコレートの改良を手がけた時でした。

「あまり悩まないタイプの僕も、悩みに悩んで当時の工場長に電話相談したんです。そしたら『えらいもんに手ぇ出したんやなぁ』と言われましたね。『俺が100回試作したんやぞ』と(笑)」

改良といっても、劇的に変えるのではない。甘さをほんの少し控えめに。生地とチョコレートが口の中でちょうど同時にサクッと溶けるように。やわらかすぎず、かたすぎず。チョコレートは、一層まろやかに。

工夫したところはたくさんあるけれど、長年のファンの方には「あ、ちょっと美味しくなったかも」と感じてもらえる「かもしれない」程度にーー。

ゴンチャロフ

「いやぁ、想像した何倍も難しかったですね」

そんな苦労を共にした開発室のメンバーとのお三時。コルベイユの相棒は、なんと、韃靼そば茶。

「コーヒーでは強すぎる気がして。煎茶も合うと思うけど、そば茶だとよりあっさりしてるというんかな。後味がすっきりして相性がいいんです。ぜひ、試してみてください」

クッキー生地とチョコレートのごく繊細なハーモニーを誇るコルベイユは、神戸生まれの日本のお菓子なのです。

コルベイユと韃靼そば茶で、製品開発室のメンバーと一服するひととき
コルベイユと韃靼そば茶で、製品開発室のメンバーと一服するひととき
ゴンチャロフ

【神戸スイーツ ノオト/ゴンチャロフ】 現在は異人館の街として多くの観光客が訪れる神戸・北野町に、1923(大正12)年、チョコレート工房を開業したのがゴンチャロフのはじまりです。創業の祖はロマノフ王朝の宮廷菓子職人であったマカロフ・ゴンチャロフ氏。彼は、当時の日本では珍しかったファンシーチョコレートやウィスキーボンボンをつくり出しました。以来、「愛されるお菓子づくり」をモットーに、ゴンチャロフ氏の精神や技術を受け継ぎながら、「神戸発祥の高級チョコレートの老舗」として100年の歴史を歩んできました。コルベイユは1976(昭和51)年誕生のロングセラー商品。サクっとした食感のラングドシャ生地と、パリッとした食感のチュイール生地の2種類をくるっと巻き込み、ゴンチャロフの独自のブレンドのチョコレートを中に流し込む。発売当初から愛される商品です。

本髙砂屋

〈ゴンチャロフ〉

コルベイユ(14本入り) 税込1,080円
コルベイユ(28本入り) 税込2,160円
コルベイユ(42本入り) 税込3,240円

大丸神戸店 地1階 洋菓子売場

〈ゴンチャロフ〉の一部の商品は
大丸松坂屋オンラインストアでもお買い求めいただけます。

TOP

関連記事