岡山へIターン。自ら道を切り拓き、
“奇跡の冬メロン”を作るメロン農家
〈くまさんの森〉
園主 髙木 俊治さん
東京でサラリーマン→日光でホテルのフロント業を経て、「手に職を!」と茨城県の日本農業実践学園で農業についていちから学ぶ。
研修先の「メロン農家」でメロンの魅力を知り、自身もメロン農家へ転身。茨城→福島から岡山に移住。
〈くまさんの森〉の由来は、髙木さんが熊に似ていて「くまさん」と呼ばれるようになったことから。
一難去ってまた一難!
たどり着いたのは、晴れの国・岡山。
東京で経理担当のサラリーマンをしていた髙木さん。ある日、会社がなくなることとなり、激務に。始発で出勤、終電・タクシーで帰るのが当たり前。太陽を見ない毎日に疲れ、ハローワークで地方生活を希望しました。栃木県日光市のホテル業を紹介され働き始めたものの、慣れないフロント業からレストランまでと業務の多さに日々泣きそうに。しかし、このホテルもなくなってしまい、「手に職だ!」と一念発起。
農業の道へ進みました。土を触るのも、草を取るのも初めての髙木さん。学校で学びつつ、メロン農家でも修行をはじめました。3年間学んだ後、独立先に選んだ土地は、福島県。2011年にメロン農家として第一歩を踏み出そうとしたその時、東日本大震災、福島での原発事故に襲われました。実家に避難しつつ、新天地を探します。災害が少なく、メロン作りができる土地と考え、2014年岡山県に移り住みました。
実はメロンが苦手!
修業先で出会った「ゆうか」メロン。
2009年。茨城県の日本農業実践学園で職業訓練を受け始めるため、学園に住み込み農業の基礎や野菜の栽培方法などを学びました。
そして、授業後も勉強にと推薦された研修先は「メロン農家」。瓜系が苦手な髙木さん。もちろんメロンも苦手です。本当は野菜作りがしたかったのに。。。そんな髙木さん、師匠と二人きりの研修が始まりました。学校とは違い、仕事は山盛り!頭からつま先まで泥だらけです。
師匠は休みも取りません。いったい何が楽しいのか。そんな気持ちにもなっていました。ある日、研修先の師匠は言いました。
「お前、本物のメロン食ったことないだろ!」と、差し出されたメロン。苦手だけれど、断れない。仕方なしにひと口。
「おいしい!」さっぱりとした喉ごしと甘さに驚きました。メロンへの意識が変わった髙木さんは、2010年メロン農家になることを決意。
この時師匠が育てていたのが、珍しいメロン「ゆうか」でした。
人との繋がりが鍵!
縁もゆかりもない岡山で奔走する。
2011年。福島で被災した髙木さん。避難所の管理の仕事などをしていましたが、体の不調や不安もあり実家へ戻ります。
震災をきっかけに、地震のこと、放射能のこと、これからの農業のことなど考え、勉強しました。メロン農家は諦めたくない、そう思っていた髙木さんは農薬を使わない農業をしようと決め、土地探しを始めました。東京から西へ。遠くは西表島へも探しに行きましたが、地震・台風が少なく、実家がある東京へもアクセスしやすいことから、2014年、岡山県に移住を決めます。親戚も知り合いもいない岡山で、農園管理のアルバイトをしながら、地域の行事やボランティアに参加。少しずつ人間関係を築きました。市役所でメロン農家がしたい。と言うと「ぶどうか桃の農家になってくれたら…」と困られた経験も。なんとか自力で岡山でのメロン作りが教われる農園と出会い、その後借りられる農地も見つかりました。
メロン栽培では無謀?!
農薬に頼らない、独自の栽培法。
茨城県や福島県でメロン作りを学んできて、いかに繊細で栽培が難しいかを実感してきました。が、目指すところは農薬を使わないメロン作り。借りた農地は、耕作放棄地。草刈りから、畑へ。そしてビニールハウスを作って、と一人きりの作業。話し相手はメロンだけでした。
メロン栽培にアブラムシ対策は欠かせません。可能な限り農薬は使わない、と決めた髙木さんが考えたのは「手で取る」という方法。ガムテープで試してみると葉っぱが破れてしまいました。それなら、とセロハンテープで試すと弱すぎてくっつかない。たどり着いたのは、マスキングテープ。うまくムシだけくっつきます。葉の裏につくアブラムシを探して、一枚一枚ひっくり返しながら1日中ハウス内を見て回ります。
可能な限り「農薬を使わない」その強い想いがあるからこそできる農法です。
冬メロンに挑戦!
岡山の地で夕張メロンを超えたい。
冬に種を蒔き、春先にムシ取り・交配、そして収穫。秋から冬は、土作り。栽培期間中に農薬を使わない米農家さんを探しては米ぬかや藁を手に入れ、裏山へ行っては落ち葉を集め、土と混ぜ込み、栄養のある土壌を作ります。夏収穫のメロンが軌道に乗ってきた髙木さん。冬も作ってみよう!と挑戦心が湧いてきました。夏とは違い、より難度の高い冬メロン。品種が豊富なメロンの中から、試行錯誤し決めたのは「マリアージュ」。赤肉タイプです。ムシや温度、さらにイノシシまで。悩みは尽きない髙木さんのメロン作り。今では家族ができ、お子様と過ごす日々の中、より栽培期間中農薬不使用のメロンを子どもにとの想いが強くなりました。「いずれは岡山で夕張メロンを超えるほど有名なメロンを作りたい」。
髙木さんの挑戦はまだまだ続きます。
大丸松坂屋オンラインストアで数量限定販売!
限りなくゼロに近づけた「極み」減農薬栽培に挑戦する〈くまさんの森〉の冬メロン。
販売に至るまで6年間、試行錯誤を続け、ようやく販売へ。オレンジ色の赤肉タイプは濃厚な甘みを持ちながら後味はスッキリ。
生ハムと合わせる食べ方もオススメです。
※1 特別栽培農産物の認証を受けています。
※2 "「極み」減農薬栽培"は「くまさんの森」独自の呼称で、(※1)の基準よりも少ない農薬使用回数のものを指します。
