昭和、平成、令和を歩んで 村上 裕二 日本画展
■7月9日(水)→15日(火)〈最終日は16時閉場〉
昭和39年、東京オリンピックの年に生まれた村上氏は、高度成長期の日本のアニメや漫画、特撮物などまさに昭和の文化のシャワーを存分に浴びて育った世代です。
氏の作品からは、あたかも劇中のワンシーンを思わせるようなストーリー性が濃厚に感じられます。
また氏の仕事の大きな側面として、我が胸中のリアルと向き合い続けている事実は欠かせません。
描かれた富士山には実際に登頂して山の厳しさを体感し、阿弥陀様は仏門に身を置き修行を重ねた経験から、また龍は奈良の當麻寺の障壁画を手掛けたことで益々自家薬籠中のモチーフとして大いなる魅力を放っています。
かつてのウルトラマン、仮面ライダーやゴジラへの挑戦も、少年時代に大きな影響を受け、 画家としての自身が描きたいものは何なのかを追求してこその帰結でした。
昭和から時代が進むにつれ、さまざまなコンテンツが発達、細分化して、分かりやすいヒーローが必ずしも求められない環境となりました。
また、サイエンスが過去の時代に謎とされていた事象を明らかなものにしている例も少なくありません。
しかし、現実世界に生きる困難さが解消されているかというと、むしろ真逆の様相を呈している、令和を迎えた今の日本。絵画の世界にあらまほしき姿を求め、「空事」を楽しむ自由が必要ではなかろうか、という氏の問いかけが、岩絵具の美しい発色と共に、観る者の心に迫りくる珠玉の作品群。
どうぞこの機会にご高覧くださいますようご案内申しあげます。

10号S
日本画
キャンバス・着色
2025年
税込3,630,000円

8号S
日本画
キャンバス・着色
2025年
税込3,025,000円