近代 柿右衛門・今右衛門展

■2月5日(水)→11日(火・祝)
〈最終日は午後5時閉場〉

約400年前、日本初の磁器が誕生した地・有田において、歴史ある窯業で独自の様式を継承し、かつてヨーロッパの王侯貴族を魅了した、優美で格調高い作品を生み出す酒井田柿右衛門。
同じく、有田の地において誕生し、日本で唯一献上品として認められた鍋島焼の伝統を継承し、精密な文様と気品あふれる色調が特徴の今泉今右衛門。
匠の技と創意が光る近代 柿右衛門、今右衛門の名品を多数出品いたします。

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十三代柿右衛門 「錦 草花地紋六角花瓶」
高さ24.8cm 1964-82年 税込1,760,000円
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十三代柿右衛門 「濁手 草花文水注」
高さ22.5cm 1964-82年 税込990,000円

柿右衛門 Kakiemon

    柿右衛門は最も広く世に知られた日本の色絵磁器といわれています。
    今から約350年前の江戸時代中頃「柿右衛門様式」と呼ばれる有田の焼き物が、西欧の王侯貴族のために輸出され、有田の窯業は繁栄の道をたどりました。 しかし、欧州で磁器生産が始まる1720年頃を境に、急速に衰退しはじめます。
    以降低迷を続けていた柿右衛門窯を再び蘇らせるため、十一代柿右衛門は強い意志を持って作陶にうちこみ、また、息子の十二代柿右衛門は、戦前・戦中の困難な世にあっても、有田の高級色絵磁器に情熱を抱きつづけました。 やがて十二代柿右衛門は輸出最盛期の濁手作品の素晴らしさに魅せられ、辛苦の末、ついに息子の十三代とともに濁手作品の復活に成功します。
    この功績が高い評価を得て、重要無形文化財の総合指定を受けました。
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十三代今右衛門 「色鍋島草花文花瓶」
高さ22.2cm 1976-2001年 税込1,265,000円
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十二代今右衛門 「錦 二方花絵花瓶」
高さ28cm 1949-75年 税込2,640,000円

今右衛門 Imaemon

    今泉家(今右衛門)は鍋島藩窯専属の赤絵屋(絵付工房)として、世に名高い色鍋島の絵付けを担当していた家系でした。
    江戸時代中頃に全盛期を迎え高い名声を得た鍋島藩窯の焼物も、後期以降は藩の勢力と同様に衰退の道を辿ることになります。
    明治維新の窯業自由化を機に、かつての鍋島全盛の作風を取り戻そうと作陶を始めたのが十代今右衛門でした。十代は、窮状にも屈せず、資金のやりくりがつくと窯を焼き、十一代はさらに厳しい経済状態の中で、注文取りに回るなどの苦労をいとわずに窯焼を続けました。
    このような親子の苦労はやがて実り、色鍋島再興の悲願は達成され、十二代に重要無形文化財の総合指定、さらに十三代の個人指定といった輝かしい完成期を迎えるのです。