わが国の色絵磁器の創設、秘伝の濁手など世界的な評価を得た柿右衛門。
その技術と精神は400年に渡り継承されており、現在も、その手作りの素晴らしさは私たちに感動を与えてくれます。十四代 酒井田柿右衛門先生は、柿右衛門様式の継承者として、一子相伝の技である「濁手」の伝統を忠実に守り、また重要無形文化財保持者(人間国宝)として、日本工芸の更なる発展のための重責を果たしていらっしゃいます。

今展では、十四代柿右衛門先生の珠玉の新作、約60点を展示。
これまでの展覧会では、出品数の少なかった「蓋物」を特集いたします。さらに、江戸時代の有田産磁器の原料だった泉山陶石を使い、よみがえった作品約20点も同時に展覧いたします。

[濁手 にごしで]
佐賀地方の方言で「米のとぎ汁」の事を「濁し」と言います。
柿右衛門の濁手素地の白さは、米のとぎ汁のような温味のある白さであることから「濁手」と呼ばれています。柿右衛門の作品の大きな特徴として白い磁肌を多く残しながら赤絵を描くことで、白磁の美しさと赤絵の美しさの調和を大切にしておりその作品は17世紀中ごろより約100年の間、オランダ東インド会社により広く ヨーロッパに紹介され、ヨーロッパの王侯貴族のコレクションの対象となり財を傾けてまでも手に入れたと言われています。この濁手素地も途中、とだえたものの十二代十三代柿右衛門によって復元されております。現、十四代柿右衛門の作風は阿蘇、九重等の山々で野の草花のスケッチをもとに、新しいモチーフを積極的に取り入れてデザインしたもので、濁手の磁肌に良くマッチした十四代独自の境地を切り開いております。

 
   
[泉山陶石について]
有田焼の原料は明治時代中頃から、熊本・天草産の陶石に取って代わられ、有田町東部にある泉山磁石場は採掘中止の状態で今日にいたっています。泉山陶石は天草陶石に比べて、粘り気が少なく、成形や焼成に難点があります。しかし、泉山陶石を原料にした白磁面には独特の青みがあり、天草陶石とはまた違う独特の美しさ、格調の高さを持っています。十四代柿右衛門は、「気品に満ちた青みの表情」と表現し、その再現に思いを馳せ6年前にプロジェクトを立ち上げました。泉山陶石を100%使用した作品となると、柿右衛門窯では少なくとも100年ぶりとなるそうです。
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